G3型巡洋戦艦

G3型巡洋戦艦について

G3型巡洋戦艦は、イギリス海軍が第一次世界大戦後に設計した艦級であり、同級は4隻構想されています。この艦級は、日本やアメリカの艦隊の拡張計画に伴う影響を受けて設計されました。G3型は当時のどの戦艦よりも大きく、速力や武装においても優れた特性を持っていましたが、一部の他国の計画にはさらに大きな艦も存在したため、歴史的な立場は複雑です。

G3型が巡洋戦艦に分類された理由は、同時に計画されていたN3型戦艦と比べて高速である一方、火力や装甲が劣っていたためです。G3型は、16インチ（406 mm）の主砲を9門装備し、32ノットの速力を発揮することが期待されていました。これに対し、N3型は18インチ（457 mm）の砲を9門搭載する計画ではありましたが、高速性は犠牲にする形でした。そのため、G3型は一般には巡洋戦艦と呼ばれつつも、実質的には高速戦艦と見ることができます。

設計の背景

G3型巡洋戦艦の設計は1921年8月に海軍本部から承認を受け、同年10月に発注が行われました。しかし、建造が進む中でワシントン海軍軍縮会議が開催され、戦艦建造の制限が定められたことにより、同年11月には建設が中断されました。最終的に、建造がキャンセルされることとなったのです。

このような経緯の中で、G3型の設計は当時の海軍の技術革新を基に組み立てられました。1916年の資料からアメリカ合衆国は、初めて「二度と誰にも負けない海軍」を建設するという意向を明確にし、日本もまた戦艦の建造に乗り出していったのです。

イギリス海軍は、新艦の速力にはアメリカのレキシントン級巡洋戦艦と同等の32ノットを求め、設計の整理を行いました。違いは、戦艦建造に関する造船所のキャパシティや、スエズ運河を通過できることなどが考慮され、様々な設計案が発表されました。これらはKからGまでの呼称で分類され、主砲は3連装砲塔の採用で数字が3になりました。

設計の詳細

G3型の設計には、斬新な特徴がいくつかありました。主砲や艦橋構造物が機関スペースの前に配され、外見はタンカーのようにも見えました。この配置により、艦全長を短縮することが可能になり、艦尾方向に主砲を向けないという設計上の利点も得られました。この特徴は、艦が主に舷側方向の敵と対峙することを意識した結果ともいえるでしょう。

また、艦の装甲に対しても「オール・オア・ナッシング」の集中防御方式が採用されました。これは、艦の一部を完全に無装甲とし、他の部分は最大限の厚さで装甲を施すという手法で、当時のアメリカ海軍の戦艦設計にも影響を受けていました。

主砲については、イギリス海軍にとって初の3連装砲塔の装備となり、比較的軽量な砲弾を使うことで砲口初速の向上を図りました。この部門では、以前の15インチ砲での重弾使用から脱却し、精度向上を狙いました。

副砲としては、6インチ砲が16門搭載され、さらに空中防御用の4.7インチ砲とポンポン砲が装備される計画でした。これらの防空システムは、艦隊防御戦の重要な要素となることが期待されていました。ただし、魚雷発射管も設置される計画はありましたが、実際にはその運用はあまり効果的ではないとの意見が多かったのも事実です。

キャンセルの経緯

最終的に、G3型の建造計画はワシントン海軍軍縮条約によってキャンセルされました。この条約が成立したことで、西側海軍の建艦競争は一時的に削減される方向に進みました。N3型は発注はされたものの、結局は工事には至りませんでした。

G3型の設計は一部がネルソン級戦艦に引き継がれ、新たな艦級の基礎ともなりました。これにより、G3型が持つ設計の影響力は堅牢なものとなり、イギリス海軍の戦艦建造史の中で一位置づけられる重要な一歩となったのです。

艦名について

G3型の艦名は公式には決まっていませんが、いくつかの候補が存在しました。第一次世界大戦の当時の巡洋戦艦から名前を引き継ぐ案や、アドミラル級巡洋戦艦の艦名を使用する案が考えられていました。このような様々な命名の可能性は、当時の海軍の情勢や建艦政策の変遷を反映するものです。

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