GAZ-67

GAZ-67：ソ連が生んだ小型軍用車両

GAZ-67は、第二次世界大戦中の1943年にソビエト連邦のゴーリキー自動車工場（GAZ）で開発された4×4輪駆動の小型軍用車両です。同時期にアメリカで大量生産されたジープに似た形態から、「ソ連版ジープ」と呼ばれることもあります。

開発の背景と特徴

GAZ-67は、アメリカのジープ（バンタムBRC-40）を参考に開発されたGAZ-64の改良型として誕生しました。開発期間の短縮と部品の共通化を図るため、エンジンやギアボックスはGAZ-MMから、ラジエーターはGAZ-AAAから流用されています。GAZ-64からの主な変更点として、エンジン出力の強化（50hpから54hpへ）と、ホイールベースの若干の拡大が挙げられます。

1944年1月からは改良型のGAZ-67Bの生産が開始されました。GAZ-67と67Bの外見上の違いは、フロントのラジエーターグリルガード部の構造です。初期型は金属棒を並べた構造でしたが、後期型ではアメリカ製ジープのようなプレス成型された金属板に長穴を設けた構造に変更されました。ただし、この構造変更がGAZ-67から67Bへの改良によるものか、大戦中の生産型と戦後型の違いであるかについては、資料によって記述が分かれています。

生産数と運用

GAZ-67とGAZ-67Bの合計生産数は、大戦終結までに4,851両でした。当時のソ連は、工業生産のリソースを戦車などの戦闘車両に重点的に投入していたため、GAZ-67/67Bの生産数は限られていました。そのため、レンドリースで供与されたアメリカ製ジープが多数使用されました。大戦終結後もGAZ-67Bの生産は継続され、1953年までに合計92,843両が生産されました。後継車種であるGAZ-69の量産開始に伴い、GAZ-67Bの生産は終了しました。

GAZ-67/67Bは、ソ連の他に中国、北朝鮮、ポーランドなどにも輸出され運用されました。

派生型

GAZ-67：1943年-1944年に生産された初期型（3,137両）
GAZ-67B：1944年1月-1953年に生産された後期型（計92,843両）。ラジエーターグリル部の構造が変更された。
GAZ-67/M8：GAZ-67の車体後部にM-8ロケット弾発射機を搭載した車両。コーカサスの山岳地帯で運用された。
BA-64B：GAZ-67Bのシャーシを流用した装輪装甲車。

模型

模型メーカーのタミヤから発売された1/35スケールGAZ-67Bのキットは、初期の製品では資料不足からラジエーターグリルが誤って再現されていました。しかし、後の製品では正確な形状が再現されています。トランペッターから発売されたキットも、グリル形状に誤りが見られます。

登場作品

GAZ-67は、以下の作品に登場します。

漫画・アニメ
『ウクライナ混成旅団』：キリバエフ中尉の移動用に使用される。
『ココロ図書館』：敵戦車隊指揮官が使用。
ゲーム
『コール オブ デューティ:ユナイテッド オフェンシブ』：マルチプレイでのみ、ソ連軍の車両として使用可能。SG-43重機関銃を搭載。

関連項目

GAZ
ジープ
GAZ-64
GAZ-69
UAZ-469

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