GLAAD

GLAAD (グラード) の概要

GLAAD（グラード）は、アメリカ国内におけるLGBT（レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー）コミュニティのメディアでの表現を監視し、その改善に取り組む非政府組織です。成立当初は「中傷と闘うゲイ＆レズビアン同盟」として知られていましたが、バイセクシュアルやトランスジェンダーの多様性を反映させるために名を改めました。

歴史

GLAADは1985年、ニューヨークで設立されました。設立の背景には、ニューヨーク・ポスト紙による誤解を招く報道がありました。それに抗議する形で活動を開始し、メディアによって描かれるホモフォビックな情報に対して是正を求める運動が実施されました。初期の活動に関与したメンバーには、映画研究家のヴィト・ルッソや初代執行役員のグレゴリー・コロヴァコス、ダリル・イエーツ・リスト、アレン・バーネット、ジュエル・ゴメスが含まれています。

1987年には、ニューヨーク・タイムズがGLAADとの意見交換を経て、同性愛を表す際に差別的な意味を含む用語の使用をやめ、「ゲイ」という語を採用する方針に変更しました. それを受けて、他の多くのメディアも同様の方針を採用しました。こうして徐々にメディアにおけるLGBTの表現が改善されていきました。

ロサンゼルスには、映画業界への影響を考慮した支部も設立されており、そこでは映画会社との連携を通じてLGBTの描写に関する改善に取り組んでいます。

GLAADの影響力

GLAADは、設立から間もなくしてその影響力を高めていきました。雑誌『エンターテインメント・ウィークリー』はGLAADをハリウッド内での重要な団体の一つとして評価し、ロサンゼルス・タイムズは「メディアロビー活動において最も成功した組織」と称賛しています。これは、同団体が効果的な政策を導入し、メディアの表現が変化していくきっかけをつくったからです。

活動内容

GLAADは、ジャーナリストやクリエーターが使用する表現方法やLGBTコミュニティを描写する際の公正かつ包括的な言葉遣いの支援を行っています。具体的には、メディアにおけるLGBTのポジティブな描写を促進し、コミュニティの存在を広める活動に従事しています。また、暴力やヘイトクライムの被害に遭った事例についての認識を高めるために、アクションアラートを通じて情報を発信しています。

さらに、学校や地域においてLGBTに対する意識の向上を図るための講演や教育プログラムも提供しています。また、様々なバックグラウンドを持つLGBTの人々に対する特別な支援を行うことで、多様性を尊重する社会づくりに取り組んでいます。

例えば、『Announcing Equality』というプロジェクトでは、本来結婚欄に掲載されるべき同性愛カップルが外国の新聞紙面にも取り上げられることを目指し、1100紙以上で実現しました。

GLAADメディア賞

毎年行われるGLAADメディア賞は、LGBTに対して公平かつ正確な描写を提供したメディアを評価するものです。1990年から始まり、毎年ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコの3カ所で式典が開催されます。この賞は、メディアの中でLGBTの権利が正しく認識され、表現されることを促進します。

GLAADはその活動を通じて、LGBTコミュニティのメディア表現を改善し、多様性を尊重する社会の実現に向けて挑戦を続けています。

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