GMC・ユーコン

GMCユーコン

GMCユーコンは、アメリカの自動車メーカーであるゼネラルモーターズ（GM）が、そのGMCブランドで展開しているフルサイズSUVです。このモデルは、同じGMグループのシボレーブランドから販売されているタホおよびサバーバンと、共通のプラットフォームや設計を共有する兄弟車の関係にあります。特にGMC版の重要な特徴として、上級グレードである「デナリ」の設定が挙げられ、このデナリの名称はユーコンが最初に採用したモデルでした。ユーコンには、標準的なボディと、全長を延長した「ユーコンXL」の2種類のサイズが存在します。

初代（1992年 - 1999年）

1980年代から90年代初頭にかけて、GMは異なるサイズのSUVに同じ車名（シボレー「ブレイザー」、GMC「ジミー」）を使用していましたが、1992年にフルサイズSUVを刷新するにあたり、GMC版は「ユーコン」と改称されました。登場当初は2ドアモデルのみでしたが、1995年モデルで利便性の高い4ドアモデルがラインナップに追加されました。同時に、シボレー版も「タホ」へと名称変更されています。タホとユーコンは、全長が長いシボレー/GMCサバーバンと比較してややコンパクトながら、いずれもトラック用のシャシーをベースとしたGMT400プラットフォームを採用していました。駆動方式は後輪駆動（FR）と四輪駆動（AWD）が用意されていました。

デナリの登場

1998年モデルとして、リンカーン・ナビゲーターに対抗するGMの高級SUVとして、ユーコンの豪華仕様である「デナリ」が導入されました。しかし、その翌年の1999年には、GMの別ブランドであるキャデラックから、ユーコンデナリをベースとした「エスカレード」が登場します。ユーコンデナリはエスカレードと外観を共有しており、標準のユーコンとは異なるフロント部分全体やサイド下部のボディパネルを備えていました。内装面では、アップグレードされたレザーシート、電動調整機能付きシート、前後席ヒーター、Boseサウンドシステム、ウッドパネルなど、通常モデルにはない数々の豪華な装備が特徴でした。

2代目（1999年 - 2005年）

2000年に実施されたフルモデルチェンジでは、プラットフォームが新世代のGMT800へと進化しました。この世代から、従来のGMCサバーバンは「GMCユーコンXL」と名称を改め、ユーコンファミリーの一員となりました。エンジンは従来の5.7Lに替えて、より小型ながらもパワフルな2種類のV8エンジンが搭載され、マニュアルトランスミッションの設定は廃止されました。新型モデルでは、グリルやヘッドライトなどのフロントデザイン、そしてインテリアが刷新されました。また、ボディデザインは空力性能を意識した流麗なラインを持つものとなりました。安全装備としては、2003年に横滑り防止装置である「スタビリトラック」が初めて採用され、2004年には出力が向上した5.3L V8エンジン（295馬力）がラインナップに追加されています。

デナリの進化

通常のユーコンがモデルチェンジした後も、初代デナリとエスカレードはしばらく販売が継続され、新型が登場したのは2001年でした。この時、エスカレードがユーコンベースの外観から大きく脱却したのに対し、ユーコンデナリは標準モデルのユーコンと比較的共通性の高い外観を維持しました。しかし、現在「デナリ」の象徴ともいえるメッシュ状のビレットグリルがこの世代で導入されたほか、エンボス加工されたサイドパネル、僅かにデザイン変更されたヘッドライト（プロジェクタービームレンズ採用）、専用の17インチ鏡面仕上げホイール、そして専用デザインのグリルとフロントバンパーなどにより、標準モデルとの差別化が図られています。

3代目（2005年 - 2014年）

2005年末に生産が開始され、2006年初頭に2007年モデルとして発売された3代目は、GMT900プラットフォームをベースとしています。この世代では、兄弟車であるタホやサバーバンとは異なる専用のフロントマスクが与えられ、特にグリルとヘッドライトのデザインは、先代モデルと比較して落ち着いた印象を与えました。搭載されるエンジンは、4.8L、5.6L、6.0Lの3種類のV8が設定されました。2007年には、タホと同様にハイブリッド仕様が登場しましたが、ロングボディのユーコンXLにはハイブリッドの設定はありませんでした。

デナリの変貌

標準のユーコンと同時に、デナリも2007年モデルイヤーでモデルチェンジを行いました。エクステリアにおける標準モデルとの最大の違いは、クロームパーツが多用されている点です。エンジンには、キャデラック・エスカレードと共通のパワフルな6.2L V8が搭載されました。また、デナリにもハイブリッドモデルがラインナップされています。

その後の世代

4代目（2014年 - 2020年）を経て、現行の5代目（2020年 - ）へと進化しています。最新モデルでは、標準ボディの「ユーコン」とロングボディの「ユーコンXL」というラインナップに加えて、従来の高級グレード「デナリ」に加え、オフロード走行性能を高めた新グレード「AT4」が追加されました。AT4は、2段階切り替え式のトランスファーやエアサスペンションなどの専用装備により、高い悪路走破性を実現しています。

車名の由来

「ユーコン」という車名は、カナダとアメリカ合衆国を流れる「ユーコン川」から名付けられました。この「ユーコン」という言葉は、現地の言葉で「偉大なる川」という意味を持っています。

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