GOLDEN☆BEST DIAMANTES

『GOLDEN☆BEST DIAMANTES』は、沖縄のミュージックシーンにおいて独自の「沖縄ラティーナ」サウンドを確立したバンド、DIAMANTES（ディアマンテス）のベスト・アルバムです。アルベルト城間を中心とするこのバンドは1991年にデビューし、そのラテン音楽を基盤とした陽気で力強い楽曲で多くのファンを獲得しました。

本アルバムは、ユニバーサルミュージックから2004年 6月2日に発売されたもので、各レコード会社が手掛ける人気シリーズ「ゴールデン☆ベスト」の一つとして企画されました。DIAMANTESにとって、これは通算4枚目のベスト盤にあたります。これまでに発表された計5枚のベストアルバムは、全てバンドがマーキュリー・ミュージックエンタテインメント（及びその前身・関連会社）に在籍していた時期の音源を中心に構成されています。

興味深い点として、これらのベスト盤の多く、そして本作も例外ではなく、バンド自身が選曲や制作意図に直接的に関与していないという背景があります。しかしながら、『GOLDEN☆BEST DIAMANTES』は、これまでのベスト盤とは異なる独自の価値を持っています。

特に顕著なのはその意欲的な選曲です。過去のベスト盤が主にオリジナルアルバムのテイクを収録していたのに対し、本作ではシングルとして発表された際のバージョンが多く採用されています。これにより、オリジナルアルバムには収められなかった貴重なテイクが8曲も含まれています（そのうち1曲は別のベスト盤にも収録されています）。

これは、発売当時すでに廃盤となっていたCDシングルの音源を入手できる、唯一のベストアルバムであるという大きな利点をもたらしています。さらに、ユニバーサルミュージック系列以外のレコードレーベルからリリースされたシングル楽曲も2曲収録されており、レーベルの枠を超えた網羅性も見られます。

アルバム全体の構成にも配慮が見られます。バンドの最大のヒット曲であり、多くの人に知られる「魂をコンドルにのせて」をオープニングトラックに据え、エンディングには同曲のスパニッシュ・アンプラグド・バージョンを配するなど、リスナーを意識した流れが作られています。

収録曲は、代表的な楽曲が揃っています。例えば、住友生命やテレビ朝日系のタイアップで知られる「魂をコンドルにのせて」や、オリオンビール、シーガイアのCMソングとなった「ガンバッテヤンド」など、彼らの活動初期からの人気曲が含まれています。

また、ヤマザキナビスコのCMに使用された「勝利のうた」のシングルバージョン、野茂英雄のオフィシャルサポーターソングとして、ハリー・ベラフォンテの有名な楽曲「バナナ・ボート」の替え歌としてドジャー・スタジアムでも歌われた「野茂英雄のテーマ・HIDE〜O」といった、時代を象徴するタイアップ曲も収録されています。

沖縄で開催された「世界のウチナーンチュ大会」のテーマ曲「片手に三線を」は、宮沢和史、BEGIN、新良幸人、どんと、小嶋さちほといった豪華な顔ぶれがコーラスや演奏に参加していることでも知られています。

フィリピン政府主催のマニラ世界音楽祭でグランプリを受賞し、沖縄県民投票のCMソングにもなった「この青い空を君に」や、コニカカラーのラジオCMソングだった「風の道」など、多岐にわたる楽曲が選ばれています。インストゥルメンタル曲として「コンドルは飛んで行く〜花祭り」も収められています。

一方で、ジャケットやブックレットに記載されている曲名や編曲者といったデータには、多くの不正確な点が見られるという惜しい側面もあります。

しかし、全体として見れば、本作はDIAMANTESのキャリアを代表する楽曲を手軽に楽しめるだけでなく、特にシングルバージョンの音源の希少性という点で、ファンにとっては非常に価値のあるベストアルバムと言えるでしょう。

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