GOST規格

GOST規格（ゴースト規格）は、ソビエト連邦（ソ連）およびその後の独立国家共同体（CIS）諸国で使用されている国家標準規格です。ロシア語での正式名称は「Государственный стандарт」（Gosudarstvennyy Standart）であり、「国家標準規格」を意味します。この頭文字をラテン文字転写したものが「GOST」となり、英語圏や日本では一般的にこの名称で知られています。

GOST規格の概要

GOST規格は、元々はソ連時代に国家主導で制定された標準規格です。ソ連崩壊後も、ロシアをはじめとするCIS加盟国間で広く採用され、現在ではCIS全体の標準規格としての役割を果たしています。CIS諸国へ製品を輸出する際には、GOST規格の認証を取得することが求められます。

この規格が対象とする分野は非常に幅広く、鉱業から食料品、医療、原子力まで、ほぼ全ての産業分野を網羅しています。民生品だけでなく、兵器技術などの軍事関連分野も含まれており、アメリカのMIL規格に相当する役割も担っている点が特徴的です。しかし、CIS加盟国間でも規格内容に差異が見られるため、ロシア国内に限定した場合はGOST-R規格という別の規格が用いられます。

GOST規格の大分類

GOST規格は、以下のような大分類に分かれています。

А: 鉱山業・鉱物
Б: 石油製品
В: 金属及び金属製品
Г: 機械・設備及び器具
Д: 輸送用機械と包装
Е: 発電及び電気工業
Ж: 土木・建築
И: 窯業
К: 木材・製紙・セルロース
Л: 化学製品・ゴム・アスベスト製品
М: 織物・皮革
Н: 食料品・飲料
П: 計測器及び制御機器
Р: 保険・医療
С: 農業・林業
Т: 技術用語の記号・単位
У: 文化・生活用品
Ф: 原子力
Э: 電気通信・通信・無線工学

これらの分類は、規格の適用範囲を明確にし、製品の認証手続きを円滑に進める上で重要な役割を果たしています。

GOST-R規格とEACマーク

ロシア国内に限定したGOST規格として、GOST-R規格が存在します。しかし、2013年2月15日以降、ロシアにおけるGOST-R認証制度は廃止され、ロシア、カザフスタン、ベラルーシの3国関税同盟（CU）によるユーラシア適合マーク（EAC：Eurasia Conformity）認証制度が開始されました。

EACマークは、これらの国々で製品を流通させる際に必要となる認証マークであり、製品が関連する技術基準を満たしていることを証明します。したがって、現在では、ロシアへ製品を輸出する際には、GOST-R規格の認証ではなく、EACマークの取得が必要となります。

その他の関連情報

ロステスト: ソ連時代から存在する品質管理機関で、1991年に現在の名称に変更されました。
Кодекс: 標準規格、法務、行政データなどを提供するオンラインデータベース（docs.cntd.ru）です。

参考資料

GOST規格公式サイト（ロシア語）

GOST規格は、その歴史的な背景から、現在に至るまで、製品の品質や安全性を保証する上で重要な役割を担っています。特にCIS諸国への輸出を検討している企業にとっては、GOST規格、そして現在のEACマークに関する知識は不可欠です。

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