GRACE (SONS OF ALL PUSSYSのアルバム)

SONS OF ALL PUSSYS - GRACE

『GRACE』（グレイス）は、2003年2月6日にDanger Crue Recordsから発売された、日本のロックバンド、SONS OF ALL PUSSYS（S.O.A.P）の1作目のミニアルバムです。

解説

L'Arc〜en〜CielのKen（Gt.）、Ein（Ba.）、そして元L'Arc〜en〜CielのSakura（Dr.）の3人によって構成されたS.O.A.Pの初の作品となります。

L'Arc〜en〜Cielが各メンバーのソロ活動に移行し、活動休止状態に入っていた時期に、Kenは長年の多忙なスケジュールから疲労を感じ、音楽活動を一時休止していました。一方、SakuraはZIGZOの解散後、新たな音楽活動を模索していました。SakuraがKenに「一緒に音を出したい」と伝えたことがきっかけとなり、友人のEinを加えて、2002年5月にバンド合宿が行われました。そして、同年8月9日に札幌KRAPS HALLでファーストライブを行い、S.O.A.Pの活動が本格的に始動しました。

本作は、ライブ活動を通じて制作されたアルバムであり、バンドの初期衝動が凝縮されています。Kenが学生時代に影響を受けたハードロックや、1980年代後半から1990年代にかけてのオルタナティヴ・ロックなど、多様なジャンルの影響が反映されています。当初はスマッシング・パンプキンズやジェフ・バックリィを意識した楽曲制作を目指していましたが、制作が進むにつれて様々な方向性へと発展していきました。

Kenは、初期のコンセプトを意識した楽曲として「A Song For You」や「PRIVATE RELIGION」を挙げています。しかし、「GRACE」や「Every Second, I'm In ROMANCE」といった楽曲は、ライブを通じて得られた感覚から生まれた、バンドならではの個性が際立つ楽曲だと語っています。

S.O.A.P.では、L'Arc〜en〜Cielでの制作とは異なり、同期音源の使用を抑えたサウンド作りが特徴です。Kenはギターアプローチについて、ローコードの使用が増え、ベースとボーカルの間を埋めるようなギターが増えたと述べています。

レコーディングでは、メンバーの手癖を極力使わないアプローチが採用されました。Sakuraは、Kenが手癖を否定し、新たなアプローチに挑戦することを推奨したと語っています。手癖に頼るのではなく、楽曲全体を構築することを重視した結果、新たな音楽性が生まれたと言えるでしょう。

本作のボーカルはKenが担当しています。Kenは、自身の音楽的なルーツを表現するためにボーカルを担当することを決めたと語っています。Sakuraは、Kenがボーカルを担当することで、バンドに新たな可能性が生まれると期待していました。

さらに、Kenは本作で初めて作詞に挑戦しています。作詞を通じて新たな自分に気付き、歌詞の持つ力に感銘を受けたと語っています。ギターやアレンジと同様に、歌詞を深く理解し、自分のものとして歌いたいという気持ちが芽生えたと述べています。

アルバムのリード曲である「GRACE」にはミュージック・ビデオが制作され、ミュージック・クリップ集『ICHIBAN-BLOW』に収録されています。

本作は、初回限定盤（CD）、通常盤（CD）、アナログ盤の3形態で発売されました。初回限定盤は完全限定紙ジャケ仕様で、10,000枚限定で販売されました。通常盤はエンハンスドCD仕様で、ボーナス映像「Bubble shot」が収録されています。アナログ盤はナンバリング仕様となっています。ジャケットデザインにはKenの写真が使用されており、以降のミニアルバムでは残りのメンバー2人の写真が使用されています。

2002年8月の活動開始以来、音源リリースが待望されていた本作は、発売初週のオリコン週間インディーズシングルチャートで首位を獲得し、大きな話題となりました。

収録曲

GRACE
タイトル未定

参考文献

『GiGS』、シンコー・ミュージック、2003年1月号
『音楽と人』、USEN(発行)、シンコー・ミュージック(発売)、2003年5月号

外部リンク

* SONS OF ALL PUSSYS OFFICIAL WEB SITE

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