SONS OF ALL PUSSYS

SONS OF ALL PUSSYS (サンズオブオールプッシーズ) について

SONS OF ALL PUSSYS (通称: S.O.A.P.) は、日本の3人組ロックバンドです。2002年にL'Arc〜en〜CielのドラマーであったSakuraの「Kenと音を出したい」という思いから、Ken (L'Arc〜en〜Ciel) と、Kenの友人であるEinを加えて結成されました。

バンドの結成と活動

バンドは当初、ハードロックやオルタナティヴ・ロックを基調とした楽曲を制作していましたが、活動の中で様々な音楽的アプローチを試みるようになりました。約5年間の活動期間中、不定期ながらライブ活動を続け、2003年から2004年にかけては、主催ライブイベント「BUBBLE FESTiVAL」を開催。このイベントには、HYDEやacid androidといったL'Arc〜en〜Cielのメンバーのソロプロジェクトに加え、清春、La'cryma Christi、MONORAL、LUNKHEADなど、豪華なメンバーが参加しました。また、2003年にはロックフェスティバル「SUMMER SONIC|SUMMER_SONIC 03」にも出演を果たしています。S.O.A.P.は、ミニアルバム3作品、シングル1作品、映像作品3作品をリリースしていますが、2006年のライブイベント出演を最後に活動を休止しています。

所属事務所はL'Arc〜en〜Cielと同じくMAVERICK、所属レーベルはMAVERICK内のDANGER CRUE RECORDSです。

結成の経緯

L'Arc〜en〜Cielが2001年頃から各メンバーのソロ活動が中心となり、事実上の活動休止状態に入っていた頃、Kenは自身の活動に疲労感を感じていました。以前から様々なプロジェクトを抱えていた彼は、約1年間音楽活動から離れていました。Kenはこの時期について、「何をすればいいのかわからなかった。L'Arc〜en〜Cielと同じ感覚で曲を作っても、同じようにしか感じられず、ソロでやる意味を見出せなかった」と語っています。

一方、L'Arc〜en〜Cielの元ドラマーであるSakuraは、2001年秋に自身のバンドZIGZOの解散が決まり、今後の音楽活動について模索していました。そこで彼は、Kenに「一緒に音を出したい」という率直な気持ちを伝えました。二人の話し合いの中で、Kenの友人であるEinをメンバーに迎えることになり、2002年5月に3人でバンド合宿を行いました。同年8月9日に札幌KRAPS HALLで初のライブを行い、S.O.A.P.としての活動が本格的に始まりました。バンドの結成日が特定されていないのは、メンバー自身が「本当にゆるく始めたバンドなので、結成日はわからない」と語っているためです。バンド名の略称である「S.O.A.P.」にちなんで、11月26日を「いい風呂の日」という語呂合わせから、後付けで記念日としています。

Kenは当初、Sakuraからの誘いに後ろ向きだったと語っています。彼は、「以前のSakuraとは一緒にやりたくなかった。お互いの考えを理解し合い、人間関係を築けると思えなければやるべきではない」と考えていたといいます。しかし、Sakuraと再び音を出すことを決めたのは、「以前とは違う関係性を築けると感じたからだ」と述べています。Kenは、メンバー全員を「味方の武器」と考え、お互いの音を理解し合い、高め合えるような関係性を理想としていたのです。

ベーシストとして加入したEinは、日本でファッションモデルとして活動していたKenの友人です。音楽ソフトやシンセサイザーで音源制作を趣味としていましたが、本格的なバンド活動の経験はほとんどありませんでした。KenはEinを誘った理由について、「趣味の視点が同じで、面白いと思える部分が多かったから。人として信頼できるというのも大きかった」と語っています。SakuraもEinのセンスを信頼しており、「ベーシストとしては初心者かもしれないが、音の世界観に対する美意識を持っている」と述べています。Ein自身も、「Kenの人間性に惹かれた」と語っています。

Einはドイツ・ベルリン出身で、日本人(母親)とドイツ人(父親)のハーフですが、6歳から日本で生活していたため、日本語を流暢に話すことができます。ベルリンに住んでいた幼少期からデヴィッド・ボウイなどの音楽を聴いていました。

音楽性・楽曲制作

初期のSONS OF ALL PUSSYSの楽曲は、Kenが学生時代に影響を受けたハードロックや、オルタナティヴ・ロックの影響が色濃く反映されています。特に、ジェフ・バックリィやスマッシング・パンプキンズからの影響が大きく、1stミニアルバム『GRACE』に収録された「A Song For You」や「PRIVATE RELIGION」は、これらのコンセプトを意識して制作されました。しかし、3人での楽曲制作を重ねていくうちに、様々な音楽性を取り入れるようになりました。S.O.A.P.のサウンドの特徴として、同期モノの使用を極力減らし、生演奏の音を重視した点が挙げられます。

楽曲制作の中心は、L'Arc〜en〜Cielでもメインコンポーザーを務めるKenですが、SakuraやEinが作詞・作曲を手がけた楽曲も存在します。また、KenがL'Arc〜en〜Ciel時代やS.O.A.P.結成前に制作していたデモ音源を基にした楽曲も発表されています。

ボーカルは基本的にKenが担当していますが、楽曲によってはEinがメインボーカルを担当することもあります。Kenがボーカルを担当することになったのは、「自分が好きだった音楽の匂いが欲しかったから」と語っています。Sakuraは当初からKenが歌うべきだと考えており、彼の表現力を高く評価していました。

ライヴ

SONS OF ALL PUSSYSのライブは、基本的に「リサイタル」と呼ばれ、各公演には「第〇回 (地域名) FESTiVAL」というタイトルが付けられています。また、バンド主催のライブイベントには「BUBBLE FESTiVAL」という名称が使用されています。このイベントには、L'Arc〜en〜Cielのメンバーのソロプロジェクト以外にも、多くのアーティストが参加しています。

S.O.A.P.の女性ファンは、「S.O.A.P.嬢」という愛称で親しまれています。

エピソード

S.O.A.P.のライブでは、マネージャーによる前説が恒例となっています。この前説は、ドラマーのSakuraがコンセプトを考え、地方ネタやそれにちなんだSEが使用されることが多いです。

所属レーベル主催の年末ライブイベント「天嘉」では、翌年の干支にちなんだ衣装を着用したり、ステージにオブジェを設置していました。

SUMMER SONIC|SUMMER_SONIC 03に出演した際、バンド名にちなんで女性器を描いた巨大な紙の幕を突き破って登場する案がありましたが、スタッフに止められました。

ライブツアー中に、HYDEがKenを慰めるために花束を贈ったエピソードがあり、そのお返しとして、S.O.A.P.はHYDEのソロライブツアーに花輪を送っています。

メンバー

Ken (ギター、ボーカル)
Sakura (ドラムス)
Ein (ベース、ボーカル)

来歴

2002年
8月9日、札幌KRAPS HALLで活動開始
12月29日、ライブイベント「天嘉」に出演
2003年
2月6日、1stミニアルバム『GRACE』発売
2月19日 - 8月18日、ライブツアー「BUBBLE FESTiVAL」開催
4月26日、2ndミニアルバム『gimme A guitar』発売
8月3日、SUMMER SONIC|SUMMER_SONIC 03に出演
11月26日、3rdミニアルバム『high』発売
12月26日、ライブイベント「天嘉 -弐-」に出演
2004年
2月1日 - 8月30日、ライブツアー「BUBBLE FESTiVAL 冬将軍2004」開催
7月7日、1stシングル「Paradise」発売
12月25日、ライブイベント「天嘉 -参-」に出演
2005年
12月25日、ライブイベント「天嘉 -四-」に出演
2006年
12月25日、ライブイベント「天嘉 -伍-」に出演
2020年
11月16日、音楽配信サービスにて楽曲配信開始

ディスコグラフィー

スタジオ・アルバム

GRACE (2003年2月6日)
gimme A guitar (2003年4月26日)
high (2003年11月26日)

シングル

Paradise (2004年7月7日)

映像作品

ICHIBAN-BLOW (ミュージック・クリップ集, 2004年7月7日)
BUBBLE FESTiVAL 2003-春 (ライブビデオ, 2003年10月20日/2004年3月26日一般発売)
S.S.J.B.F. in 武道館 (ライブビデオ, 2004年12月25日/2005年3月26日一般発売)

ライブ

(多数のため、割愛します)

参考文献

『GiGS』、シンコー・ミュージック、2003年1月号
『音楽と人』、USEN(発行)、シンコー・ミュージック(発売)、2003年5月号
『ROCKIN'ON JAPAN』、ロッキング・オン、2004年3月号
『GiGS』、シンコー・ミュージック、2004年8月号

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