GUILTY (浜崎あゆみのアルバム)

浜崎あゆみ9枚目のオリジナルアルバム『GUILTY』：重厚なサウンドと迷走の軌跡

2008年1月1日、エイベックス・トラックスより、浜崎あゆみの9枚目のオリジナルアルバム『GUILTY』がリリースされました。

本作は、CDのみとCD＋DVDの2形態で発売され、いずれにも初回生産限定特典としてスペシャルフォトブックが封入されました。前作『Secret』から約1年ぶりのリリースとなる本作は、浜崎あゆみ自身の楽曲制作における苦悩や、アルバムコンセプトの迷走といった制作過程の困難を反映した作品となっています。

特筆すべき点として、4thアルバム『I am...』以来、編曲やインストゥルメンタル楽曲の作曲など、全てのアルバム制作に携わっていたtasukuが、本作では制作に関わっていないことが挙げられます。これは、2007年の浜崎あゆみが楽曲制作に苦しんだ年であったことと関係していると考えられます。制作過程の困難さは、3rdアルバム『Duty』制作時の状況と類似していたと浜崎自身も語っており、その精神的な葛藤が作品に反映されていると言えるでしょう。

オリコンアルバムチャートでは2位という結果に終わり、デビュー以来続いていたオリジナルアルバム連続首位記録は途絶えました。しかし、音楽批評誌『CDジャーナル』は、「日本のポップ・フィールドを代表する女性シンガーによる9枚目のアルバム。タイトルも意味深げでさまざまに思いを巡らせるが、力強い歌声と重厚なサウンドがその印象をさらに強める。ダークな空気感を昇華させた作風が自身の存在感をさらに際立たせている。」と評価しており、その音楽性と表現力は高く評価されています。

アルバムには全14曲が収録されており、シングル曲はもちろん、CMソングや映画主題歌、そしてインストゥルメンタル曲など、バラエティに富んだ楽曲群が並んでいます。中でも、後に43rdシングルとしてリリースされた「Mirrorcle World」の原型となる「Mirror」や、中国語バージョンがリリースされた「MY ALL」など、後に大きな成功を収める楽曲も含まれています。

DVDには、複数のミュージックビデオ、メイキング映像が収録されており、楽曲の世界観をより深く理解するための貴重な映像資料となっています。また、アルバム収録曲の一部は、浜崎あゆみのライブツアーでも演奏されており、ライブパフォーマンスを通じて楽曲の持つ力強さがさらに増幅されていると言えるでしょう。

『GUILTY』は、制作過程の苦悩やチャートにおける記録の更新といった面だけでなく、音楽性、表現力、そしてライブパフォーマンスにおいても高い評価を得た、浜崎あゆみのキャリアにおいて重要な位置を占める作品と言えます。力強い歌声と重厚なサウンド、そしてダークな雰囲気の中に潜む繊細な感情表現は、多くのリスナーを魅了し続けていると言えるでしょう。このアルバムは、浜崎あゆみの音楽的成長と、アーティストとしての揺るぎない存在感を示す象徴的な作品として、これからも高く評価されていくことでしょう。

もう一度検索