GUITARHYTHM VI

布袋寅泰『GUITARHYTHM VI』解説

『GUITARHYTHM VI』（ギタリズム・シックス）は、日本のミュージシャン、布袋寅泰が2019年5月29日にリリースした18枚目のオリジナルアルバムです。前作『Paradox』から2年ぶり、GUITARHYTHMシリーズとしては『GUITARHYTHM V』から10年ぶりの作品として、大きな話題を呼びました。

アルバムのコンセプト

本作は、"あの日見た未来"、"かつて想像していた未来へ実際に来た自分たち"というコンセプトを掲げています。GUITARHYTHMシリーズ開始から30年以上が経過し、テクノロジーは飛躍的に進歩し、「かつて思い描いていた未来」が現実のものとなりました。しかし、現代社会はどこか閉塞感があり、明日の見えない雰囲気に包まれています。このアルバムは、「今という"未来"は本当に我々の欲したものであったのか」という問いかけをテーマに、現代社会へのメッセージを込めた作品となっています。

ブラック・ミラーのような世界観や、宇宙感もキーワードとして挙げられており、サウンド面でもデジタルと生音を融合させた、GUITARHYTHMならではの世界観が展開されています。

制作の背景

当初、布袋は本作をGUITARHYTHMシリーズとして制作することは決めていませんでした。しかし、前作『Paradox』が非常に満足のいく作品だったことで、本作へのプレッシャーを感じていたところ、スタッフから「2018年はGUITARHYTHMから30周年」という言葉を受け、現代のテクノロジーを用いて当時とは違うものが作れるのではないか、そして30年という自身の時間と現実を“GUITARHYTHM”というテーマで描いたらどうなるかと考えたことが、制作の転機となりました。2018年秋頃には、楽曲が半分ほど完成した時点でGUITARHYTHMとして制作することを決意しています。

豪華なゲスト陣

本作には、MAN WITH A MISSION、Corneliusといった豪華アーティストがコラボレーションで参加しています。さらに、シャーデーのアンドリュー・ヘイル、デヴィッド・ボウイのサポートで知られるマイク・ガーソン、BOØWY時代のバンドメイトである松井常松と高橋まことも参加し、アルバムに彩りを添えています。

サウンドへのこだわり

レコーディングは、プライベートスタジオであるダダ・スタジオを中心に行われ、ミラノでのセッションから生まれた楽曲も収録されています。デジタルサウンドを基調としながらも、ドラムとベースはほとんどが生演奏で、生音のリズムにもこだわっています。マスタリングは、『GUITARHYTHM II』から使用しているメトロポリス・スタジオで行われました。

リリースと展開

アルバムは、CDのみの通常盤、ライブ映像付きの初回生産限定盤、UNIVERSAL MUSIC STORE限定のグッズセットが同梱された完全数量限定盤の3形態でリリースされました。リリース後には、公式サイト上に特設サイトが開設され、トレーラー映像やミュージックビデオが公開されました。

アルバムリリース後には全国ツアー『HOTEI Live In Japan 2019 〜GUITARHYTHM VI TOUR〜』が開催され、追加公演も行われました。追加公演の神戸ワールド記念ホールでは、松井常松と高橋まことがスペシャルゲストとして登場し、1988年のLAST GIGS以来、31年ぶりにBOØWYのメンバー3人が共演を果たし、大きな話題となりました。

チャート成績

オリジナルアルバムとしては『King & Queen』以来23年ぶり、オリジナル作品としても『バンビーナ』以来20年ぶりに、オリコンチャートでベスト3入りを果たしました。

収録曲について

アルバムには、インストゥルメンタル曲「Welcome 2 G VI」から、MAN WITH A MISSIONとのコラボ曲「Give It To The Universe (feat. MAN WITH A MISSION)」、Corneliusとのコラボ曲「Clone (feat. Cornelius)」、松井常松と高橋まことが参加した「Thanks a Lot」など、バラエティ豊かな楽曲が収録されています。各楽曲には、布袋寅泰の音楽的な探求心と、現代社会へのメッセージが込められています。

まとめ

『GUITARHYTHM VI』は、布袋寅泰の音楽キャリアにおける重要な作品であり、GUITARHYTHMシリーズの集大成とも言えるでしょう。テクノロジーと人間、未来と現実、そして過去と現在が交錯する、深遠なテーマを内包した本作は、多くのリスナーに感動と刺激を与え続けています。

もう一度検索