GUITARHYTHM

布袋寅泰のデビューアルバム『GUITARHYTHM』の全貌

アルバム概要

日本のロックシーンで圧倒的な人気を誇る布袋寅泰。このアルバム『GUITARHYTHM』は、彼のファースト・ソロアルバムとして1988年にリリースされました。以前のバンド・BOØWY解散後に発表されたこの作品は、従来のバンドスタイルから一新し、デジタル・ロックという新しい表現に挑戦しています。彼が提唱した「GUITARHYTHM」という言葉は、ギターとリズムを結びつけた独自の造語であり、音楽スタイルの根幹を成しています。

コンセプトと制作背景

『GUITARHYTHM』は「架空のサウンドトラック」というコンセプトに基づいて作られ、各楽曲はそれぞれ独立した映画の一場面のような成り立ちを持っています。全曲新曲で構成され、英語の歌詞が使用されている点も特徴的です。これには国際的な音楽シーンを意識した布袋の意図が反映されています。彼は「音楽として聴いてほしい」と語り、自身のボーカルが前面に出ることを望んでいないと明言しています。これにより、リスナーには曲の持つメッセージや雰囲気を深く感じ取ってほしいという思いが込められています。

録音風景と技術的挑戦

アルバムの録音はロンドンにて行われ、アビー・ロード・スタジオという名スタジオでの制作は、布袋にとって特別な体験となりました。プログラマー藤井丈司とキーボーディストのホッピー神山という仲間たちと共に、ギターとコンピュータを組み合わせた音作りを行い、当時の技術を駆使して新しい音の追求に挑みました。録音には一発録りに近い手法が取られ、デジタル技術とアナログな感触が融合したサウンドで仕上げられました。

リリースと受け入れ

1988年10月5日にリリースされたこのアルバムは、音楽雑誌やメディアから高い評価を得る一方で、BOØWYの影響が強すぎるとの批評もありました。しかし、布袋にとってこのアルバムは新たなスタートであり、彼の音楽的アイデンティティを確立する重要な一歩となったのです。海外進出を試みたものの、イギリスでのプロモーション活動はうまくいかず、結果的には日本市場でのセールスが中心となりました。そして最終的には商業面で赤字を出す結果になったとのことですが、彼にとっての創造的な挑戦は続きました。

アートワークとビジュアル

アートワークは、布袋が今後の作品でも多くの協力をすることになる永石勝が手がけ、ジャケットには宇野亜喜良のデザインが施されています。また、ビジュアルフォトが音楽雑誌に掲載され、布袋自身が各曲に対するコンセプトを解説しました。このような視覚的な表現により、音楽がより多角的に理解されることを目指しました。

ライブパフォーマンス

『GUITARHYTHM』の音楽を生き生きと具現化するために、布袋は1988年10月26日にソロ初のコンサートを開催しました。このライブでは、アルバムの楽曲を中心に構成された演出が観客を魅了しました。オープニングアクトにはテクノポップバンドのTHE PLANETSが出演し、布袋自身も観客に強く印象を残すパフォーマンスを展開しました。ただし、初のボーカルパフォーマンスへの不安から、ライブ前に深酒してしまい、朝のリハーサルには間に合いませんでしたが、その後のパフォーマンスは無事に成功。それでも、彼は自らの失態を振り返り、今後の成長の糧としたようです。

まとめ

『GUITARHYTHM』は、布袋寅泰にとって新たなジャンルの開拓と自己表現を追求した重要なアルバムです。デジタル・ロックという新たな試みがウケた背景には、彼の革新性と意欲があったからこそ。この作品は、数多くの音楽ファンに影響を与え続けています。

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