Gab (SNS)

Gab（ギャブ）

Gabは2016年8月にプライベートベータ版が始まり、2017年に正式に公開されたアメリカ合衆国ペンシルベニア州クラークス・サミットに本社を構えるGab AI, Inc.が運営するソーシャル・ネットワーキング・サービス（SNS）です。利用者は「gabs」と呼ばれる投稿を行うことができ、これはTwitterのツイートに似た形式をしています。2021年7月時点で、約100万人の登録ユーザーがいるとされています。

Gabの利用者の多くは、保守的な白人男性とされており、特に他のSNSから追放されたユーザーや、極端な政治的見解を持つ人々に支持されています。このプラットフォームは、ネオナチや白人至上主義者、オルタナ右翼といった思想を持つ利用者にとって「安息の地」として機能しており、彼らはGabを通じて自身の意見を表明しています。特に、リチャード・B・スペンサーやアレックス・ジョーンズなど、オルタナ右翼の著名な人物が多くフォロワーを持っていることが特徴です。

Gabは言論の自由や個人の権利を支持することを公言していますが、このような主張はしばしばオルタナ右翼コミュニティを保護するための口実と受け取られ、厳しい批判を受けることがあります。2018年10月には、ペンシルベニア州ピッツバーグで発生したシナゴーグ襲撃事件がGabに影響を及ぼしました。この事件は反ユダヤ主義者によって引き起こされ、犯人は頻繁にGabに反ユダヤ的な投稿をしており、襲撃をほのめかす内容を投稿していました。この事件後、Gabはホスティングサービスを停止され、一時的にアクセスできなくなりましたが、その後新たなホスティング契約によりサービスを再開しました。

さらに、Gabは2019年1月にDissenterというブラウザ拡張機能を発表しました。この機能により、ユーザーは他のウェブサイトの記事に対して独自のコメントを投稿できるようになりましたが、利用規約違反により数ヶ月後には主要なブラウザのアドオンストアから削除されました。また、同年7月にはGabの基盤を分散型SNSマストドンのフォーク版に移行しましたが、これに対してマストドンからは表現の自由の名のもとで人種差別的な目的で運営されているとの厳しい反発がありました。

Gabは、その運営方針や利用者層の特異性から、他のSNSとは一線を画した存在感を示しており、今後もその影響力や問題点について注目され続けるでしょう。

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