General Transit Feed Specification

General Transit Feed Specification (GTFS)

GTFSは、公共交通機関の時刻表や地理的な情報をオープンな形式で提供する仕様です。この標準的なフォーマットのおかげで、様々な公共交通機関の情報を一元化し、経路検索やアプリケーション開発がスムーズに行えるようになります。この種のデータが利用しやすくなることで、ユーザーはより便利に公共交通を利用できるようになっているのです。

GTFSのデータ構造

GTFSに含まれるデータは、主に複数のCSVファイルに整理され、これらのファイルは一つのZIPアーカイブとしてまとめられます。CSV形式はテキストエディタや表計算ソフトで簡単に操作できるため、小規模事業者でもデータの作成が容易であるという特長があります。GTFSが必要とするデータファイルは以下のようにまとめられています：

- agency：交通機関の基本情報を記載
- stops：停車地に関する情報（例：駅やバス停）
- routes：運行ルートの情報
- trips：個々の旅程情報
- stop_times：停車時刻データ
- calendar：運行日を曜日単位で定義
- calendar_dates：特定の運行日を指定（省略可能）
- fare_attributes：料金クラスの情報（省略可能）
- fare_rules：料金のルールについての情報（省略可能）
- shapes：地理的な運行経路の描画情報（省略可能）
- frequencies：運行間隔が決まっている交通機関のための情報（省略可能）
- transfers：乗り換えに関する情報（省略可能）
- feed_info：GTFSフィード関連の情報（省略可能）

GTFSリアルタイム

GTFSリアルタイム（GTFS-realtime）は、公共交通機関の運行状況をリアルタイムで提供するためのオープンフォーマットです。GTFSとは異なり、遅延や運休に関する情報をリアルタイムで更新しています。具体的には次のような情報を扱います：

- ルート最新情報：各運行の遅れ状況
- 運行情報：運行全体の状況やその原因
- 車両位置情報：実際に運行中の車両の位置

GTFSのデータが固定されたファイルとして提供されるのに対し、GTFSリアルタイムのデータはAPIを通じて取得します。この際に使用されるデータ形式はProtocol Buffersというものです。

GTFSの利用状況

GTFSは公共交通オープンデータのデファクトスタンダードとなっており、様々なアプリケーションがこのフォーマットに対応しています。特にGoogleの提供するGoogle乗換案内では、各交通事業者からの情報をGTFSおよびGTFSリアルタイム形式で受け付けており、非常に多くのユーザーがこのサービスを活用しています。また、GTFSデータを集約する専門のウェブサイトも数多く存在します。

GTFSの歴史

GTFSの起源は2005年に遡ります。当時、Googleがオレゴン州ポートランドの公共交通機関TriMetとの連携により、Google Transit（後のGoogle乗換検索）を開始する際に使用されたデータに基づいています。その後、2006年にはこのデータ形式が正式にGoogle Transit Feed Specificationとして公開され、GTFSの最初のバージョンが登場しました。GTFSは、その後もGoogleや交通関連の事業者、データの利用者によって継続的に改訂・拡張され、2009年には名称が「Google Transit Feed Specification」から「General Transit Feed Specification」に変更されました。

日本における標準的なバス情報フォーマット

日本では、国土交通省がGTFSを拡張し、「標準的なバス情報フォーマット」を策定しました。このフォーマットは、特に中小のバス事業者が経路検索において無視されがちだった問題を解決するために2017年3月に公開され、より多くのバス事業者がデータを提供しやすくすることを目的としています。

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