オープンフォーマット

オープンフォーマットとは

オープンフォーマットとは、一般的に非営利の標準化団体によって管理され、利用が自由で法的な制約がなく、公開されているファイル形式の仕様を指します。これは、オープン標準の一部であり、プロプライエタリソフトウェア（独占的な権利を持つソフトウェア）でもFLOSS（フリー/オープンソースソフトウェア）でも実装することが可能です。

プロプライエタリフォーマットとの違い

対照的に、プロプライエタリフォーマットは、特許権や著作権によって保護されているファイル形式です。プロプライエタリフォーマットをリバースエンジニアリングによって相互運用を可能にすることについては、様々な考え方があります。

オープンフォーマットの目的

オープンフォーマットの主な目的は、法的および技術的な側面から、長期的なデータへのアクセスを保証することです。また、プロプライエタリフォーマットが特定のベンダーによる市場の独占を助長するのに対し、オープンフォーマットは競争的な健全な市場の形成を促進します。各国政府も、オープンフォーマットの重要性に注目し始めています。

オープンフォーマットとオープンソース

オープンフォーマットとFLOSS（フリー/オープンソースソフトウェア）の関係は、しばしば誤解されがちです。多くのプロプライエタリソフトウェアがオープンフォーマットを利用しており、同時にFLOSSであってもプロプライエタリフォーマットを使用することがあります。

例えば、HTMLはWorld Wide Webで広く利用されているオープンフォーマットのマークアップ言語ですが、マイクロソフトのInternet Explorerのようなプロプライエタリなブラウザでも、Mozilla Firefoxのようなフリー/オープンソースのブラウザでも使用されています。

また、OpenOffice.orgはフリー/オープンソースのオフィススイートですが、OpenDocumentのようなオープンフォーマットだけでなく、マイクロソフトのプロプライエタリなDOC形式も扱うことができます。企業によっては、ファイルフォーマットを公開することで、サードパーティやハードウェアベンダーがリーダーやライターを開発できるようにし、そのフォーマットの普及を促進しています。アドビシステムズのPDFやマイクロソフトのRTFなどがその例です。

プロプライエタリフォーマットと競争

ただし、プロプライエタリフォーマットの中には、特許によって保護されているものがあり、フリー/オープンソースの実装が妨げられる場合があります。このようなフォーマットが競争を阻害するという批判も存在します。

オープンフォーマットの例

オープンフォーマットには以下のようなものがあります。

OASIS OpenDocument Format for Office Applications (オフィススイート用共通フォーマット)
PDF (文書フォーマット)
EPUB (電子書籍フォーマット)
LaTeX (文書マークアップ言語)
DVI (ページ記述言語)
TXT (フォーマットされていないテキスト)
HTML/XHTML (マークアップ言語)
OpenEXR (画像フォーマット)
PNG (ラスタ画像フォーマット)
SVG (ベクタ画像フォーマット)
VRML/X3D (リアルタイム3次元データフォーマット)
FLAC (音声フォーマット)
MP4 (動画フォーマット)
Ogg (Vorbis, Opus, FLAC, Speex:音声フォーマットとTheora:ビデオフォーマットのコンテナ)
XML (マークアップ言語)
ZIPと7Z (データ圧縮フォーマット)
Markdown (文書作成フォーマット及びメモ記述フォーマット)

関連概念

オープンシステム

オープンシステムとは、仕様が公開されており、異なるシステムやソフトウェアが相互に連携できるシステムのことを指します。

ベンダーロックイン

ベンダーロックインとは、特定のベンダーの製品やサービスに依存してしまう状態を指します。オープンフォーマットは、ベンダーロックインを回避する手段の一つです。

ネットワーク外部性

ネットワーク外部性とは、ある製品やサービスの利用者が増えるほど、その価値が高まる現象を指します。オープンフォーマットは、多くの人が利用することで、その利便性が向上します。

自由ソフトウェア

自由ソフトウェアとは、利用、複製、配布、改変が自由なソフトウェアのことです。オープンフォーマットは、自由ソフトウェアの普及を支える重要な要素です。

3E戦略

3E戦略とは、エンパワーメント（Empowerment）、エンゲージメント（Engagement）、エコロジー（Ecology）の3つの要素を重視する戦略です。オープンフォーマットは、情報へのアクセスを容易にし、社会全体のエンパワーメントにつながります。

ドキュメントの自由の日

ドキュメントの自由の日とは、オープンフォーマットの重要性を啓発するために毎年開催されるイベントです。

外部リンク

Massachusetts Information Technology Division
* Free Knowledge requires Free Software and Free File Formats by Jimmy Wales

この記事では、オープンフォーマットの概要、オープンソースとの関係、具体的な例、関連概念について解説しました。オープンフォーマットの理解を深めることで、より柔軟で相互運用可能なシステム構築が可能になるでしょう。

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