Glottolog

Glottolog：世界言語の包括的なデータベース

Glottologは、ドイツのライプツィヒにあるマックス・プランク進化人類学研究所によって管理されている、世界中の言語に関する包括的な書誌データベースです。言語の分類や系統関係を詳細に示すだけでなく、各言語の使用地域や関連文献情報も提供する、言語学研究に欠かせない重要なリソースとなっています。

Glottologは大きく分けて二つの部分から構成されています。一つは世界の言語と語族を網羅した便覧『Languoid catalogue』、もう一つは各言語に関する参考文献をまとめた『Langdoc』です。Webサイト上の各言語の項目では、その言語が属する語族や語群に基づいた系統樹（分岐図）、言語使用地域の地図、そして関連する外部ウェブサイトへのリンクなどを閲覧することができます。

最新のバージョン（2020年時点では4.2版）では、膨大な数の言語に関する情報を網羅しています。言語の分類においては、特に慎重なアプローチがとられており、多くの言語データベースと比較して、より詳細かつ正確な分類を目指しています。分類が困難な言語については「孤立言語」として分類され、その特性が丁寧に説明されています。

具体的には、音声言語について425の語族（孤立言語を含む）、手話について75の語族（孤立言語を含む）が掲載されています。クレオール言語に関しては、その言語の基本的な語彙がどの言語または語族に由来するのかを基準に分類されています。さらに、ピジン言語、混合言語、人工言語、口語レジスター、分類不能な言語、存在が不確実な言語など、多様な言語類型に関する情報も網羅的に提供されています。例えば、ピジン言語では1つのピジン手話を含む79の言語、混合言語は24、人工言語は8などが挙げられます。また、ISO登録から外れたり、存続が危ぶまれたりする言語についても、3つの手話を含む270の言語の情報が記述されています。

Glottologでは、各語族の使用地域が示されていますが、中には「パプネシア」（パプアニューギニアとオーストロネシアの混合語で、東南アジアやオセアニアとは区別して使われる）のような、一般的ではない地域名も用いられています。これは、言語の分布や歴史的背景を正確に反映するため、専門的な地理的分類を用いていることを示しています。

Glottologは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下で公開されており、研究者だけでなく、言語に興味を持つすべての人にとって貴重な情報源となっています。その正確性と網羅性から、言語学研究において非常に重要な役割を果たしており、今後も継続的に更新され、より充実したデータベースとして発展していくことが期待されています。 Glottologは、ISO 639やEthnologueといった他の言語データベースと並んで、言語学研究において重要な役割を担っています。これらのデータベースを相互参照することで、より包括的な言語情報の把握が可能になります。

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