H.225.0

H.225.0は、H.323プロトコルファミリーを構成する重要な要素の一つです。この規格は、主に以下の二つの主要な機能を提供するために設計されています。

呼シグナリング (Call Signaling)

H.225.0の最も重要な役割の一つが、H.323ネットワークにおける呼の確立、制御、および終了のプロセスを定義することです。この呼シグナリングは、ISDNの呼確立手順である勧告Q.931に基づいています。具体的には、発信者が相手に接続を要求し、相手がそれに応答し、最終的に接続が確立されるまでの一連の手順を規定します。また、接続が不要になった際には、このシグナリングを通じて安全に接続を終了させることも可能です。

RASシグナリング機能 (RAS Signaling Function)

もう一つの重要な機能は、RASシグナリングです。これは、H.323の端点とゲートキーパーの間で行われる、登録、承認、帯域幅の変更、状態監視、解放といった手順を定義します。RASシグナリングは専用のチャネルを使用して行われ、これらのメッセージは一般的にRAS (Registration, Admission, and Status) と呼ばれます。ゲートキーパーは、ネットワークリソースの管理と制御の中心的な役割を担い、RASシグナリングを通じて、ネットワークへのアクセスを許可したり、帯域幅を調整したりします。

メディアパケット化

H.225.0は、G.711、H.261、H.263などの比較的古いコーデックに対するメディアパケット化を定義しています。具体的には、これらのコーデックで符号化されたメディアデータをRTP（Real-time Transport Protocol）を使用してパケット化する方法を指定します。新しいITU勧告では、パケット化にはRFC（Request for Comments）を参照することが一般的です。例えば、H.264をH.323で使用する場合、パケット化はH.241でRFC 3984を参照するように定義されています。

メッセージエンコーディング

H.225メッセージのエンコーディングには、Q.931のユーザー間情報エレメントが利用されています。メッセージ自体は、ASN.1（Abstract Syntax Notation One）のPER（Packed Encoding Rules）に従って符号化されます。これにより、効率的なデータ転送と異なるシステム間での相互運用性が確保されます。

Q.931に基づくH.225構造

H.225の構造は、Q.931プロトコルに準拠しており、これにより信頼性が高く、効率的な通信が可能になります。以下に、H.225の構造の概要を示します。

メッセージの種類: 呼設定、呼応答、呼終了など、さまざまなタイプのメッセージが存在します。
情報要素: メッセージには、送信元アドレス、宛先アドレス、帯域幅要求、メディアタイプなどの情報が含まれています。
エンコード方式: ASN.1 PERを使用して、メッセージをバイナリ形式に変換します。

H.225.0は、H.323システムにおける重要な制御要素であり、信頼性の高い音声およびビデオ通信を実現するために不可欠な役割を果たしています。

外部リンク

ITU-T H.225.0 Recommendation

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