HBX爆薬

HBX爆薬（High Blasting Explosive）

HBX爆薬、またはHigh Blasting Explosiveは、TNT、ワックス、アルミニウム粉、塩化カルシウムなどを原材料とした混合爆薬です。この爆薬は特に水中での使用に適しており、従来の爆薬に比べて爆発の威力を高めています。

概要

HBX爆薬は、魚雷や爆雷、機雷の炸薬として使用され、水中での爆発において特に効果を発揮します。その設計は、爆発の猛度を高めることに重点が置かれており、ヘス猛度試験ではTNTの160%の値を記録しています。水中では、爆薬がもたらす衝撃波よりも、バブルパルスと呼ばれる衝撃波の影響で、より大きな破壊力を発揮することが知られています。このため、HBX爆薬は空気中での使用には適していません。

この爆薬は1942年に開発されたトーペックス（トルペックス）の改良版として1940年代にアメリカで作られました。第二次世界大戦中、欧米の魚雷や爆雷に装備され、戦場で使用されました。HBX爆薬は、イギリス王立兵器工廠の規格で製造されるトーペックスとは異なり、アメリカのMIL規格（MIL-E-22267）に基づいて作られています。しかし、イギリス軍がアメリカから供与されたHBX爆薬をトーペックスと呼ぶことがあったため、文献や資料によっては混同されることがあります。HBX爆薬は、実際にはイギリスで開発されたトーペックスのアメリカ製改良版であり、組成や使用理念が類似しています。現在、HBX爆薬はPBX爆薬に取って代わられました。

規格

アメリカでは、HBX爆薬の規格がMIL規格（MIL-E-22267）によって定められており、主に三種類のフォーミュレーションが存在します。

HBX-1

• - TNT: 37.8% ±3.0%
• - アルミニウム粉: 17.1% ±3.0%
• - RDX: 40.4% ±3.0%
• - レシチン: 4.7% ±1.0%
• - 水分: 2.0% 以下

HBX-3

• - TNT: 29.3% ±3.0%
• - アルミニウム粉: 34.8% ±3.0%
• - RDX: 31.2% ±3.0%
• - レシチン: 4.9% ±1.0%
• - 水分: 2.0% 以下

H-6

• - RDX: 45.1% ±3.0%
• - TNT: 29.2% ±3.0%
• - アルミニウム粉: 21.0% ±3.0%
• - レシチン: 4.7% ±1.0%
• - 水分: 2.0% 以下

このように、HBX爆薬はその構成により異なる特性を持ったいくつかのバリエーションから成り立っており、用途によって適切な種類が選ばれます。

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