HD DVD

HD DVD（High-Definition Digital Versatile Disc）は、DVD規格を基に開発され、ハイビジョン時代に対応した第3世代の光ディスクです。2002年8月29日、東芝とNECが提案したAOD（Advanced Optical Disc）は、同年11月にHD DVDとして正式に承認されました。しかし、その後の規格戦争において、市場はBlu-ray Disc（BD）を選択し、結果的にHD DVDは2008年に消滅しました。

仕様

HD DVDは直径12cmおよび8cmのプラスチック製ディスクであり、厚さは1.2mmです。CDやDVDと同様の形状を持ちつつも、青紫色半導体レーザー（波長405nm）を使用しているため、高密度の記録が可能です。12cmディスクの容量は、1層で15GB、2層で30GB、8cmディスクは1層で4.7GB、2層で9.4GBです。DVDと同じ薄さの保護層を持ち、製造ラインの一部を流用することが可能でした。

規格

HD DVDは、読み取り専用型のHD DVD-ROMや、記録型のHD DVD-RとHD DVD-RWなど、多様な規格を持っています。書き換え型のHD DVD-RWは記録型HD DVDの一種で、技術的な制約から改良が行われ、HD DVD-RAMに変更されました。

• - HD DVD-ROM: 一度書き込まれたデータを読み取る専用ディスクで、最高51GBの容量がありますが、商業製品は少数です。
• - HD DVD-R: 一度だけ書き込みが可能で、1層15GB、2層30GBのデータを保存できます。
• - HD DVD-RW: 書き換えが可能な規格で、HD DVD-ROMに比べると制限はありますが、多くの用途に利用されました。

また、HD DVD-Videoは市販ビデオソフトのために策定された規格であり、AACS（Advanced Access Content System）という新しい著作権保護技術を採用しています。再生インターフェースにはHDiが含まれており、全てのHD DVDプレーヤーで利用可能でした。これにより、インターネットを通じて追加コンテンツが提供されることが実現されました。

沿革

2004年にはHD DVDプロモーショングループが設立され、商業的な推進が行われました。しかし、2005年から2008年にかけて、ハリウッド主要映画会社の支持を失うこととなり、2008年には東芝がHD DVDから撤退を発表しました。これにより、HD DVDの市場は消滅し、HD DVDプロモーショングループは解散。

HD DVDの市場への影響

HD DVDは、その高い記録容量とハイビジョン対応という特性を持ちながらも、最終的にBlu-ray Discの支持を受ける市場に対して劣位に立たされました。特に、映画産業や家庭用ビデオ規格における大手企業の支持の変化が、HD DVDの行く先を決定づける要因となったのです。

この技術的進化と規格争いの裏には、ユーザーの需要の変化や業界全体の流れ、特にデジタルメディアの普及が影響を与えていることが分かります。HD DVDの歴史は、技術革新だけでなく、その戦略やマーケティングの重要性を再認識させるものでもあります。

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