Advanced Access Content System

Advanced Access Content System (AACS) について

Advanced Access Content System（AACS）は、コンピュータおよび家電メーカーが設立したAACS LAによって策定された、アクセス制御を用いた著作権保護技術です。主に映像コンテンツの不正コピーを防止するために用いられ、HD DVD、Blu-ray Disc、Ultra HD Blu-rayといった光ディスクメディアの再生専用ディスクや書き込み用ディスクに採用されています。DVDで広く利用されていたマクロビジョン方式のコピーガードに代わり、DVD-Videoのアクセス制御技術であるCSSの脆弱性が指摘されたことを背景に、より強固な保護システムとして開発されました。

AACSの仕組み

AACSは、主に以下の3つのキーを用いてコンテンツを保護しています。

Device Key（デバイスキー）: プレーヤーに割り当てられた暗号化文字列で、CSSにおけるマスターキーに相当します。複数のデバイスキーが存在し、各プレーヤーにはいずれか1つが割り当てられます。このキーは、ディスクに保存されているメディアキーの暗号化と復号化に使用されます。
Media Key（メディアキー）: ディスクに保存され、著作権者が任意に設定できる暗号化された文字列で、CSSにおけるディスクキーに相当します。このキーは、ディスクに保存されているタイトルキーの暗号化と復号化に使用されます。
Title Key（タイトルキー）: ディスクに保存され、著作権者が任意に設定できる暗号化された文字列で、CSSにおけるタイトルキーに相当します。このキーは、ディスクに保存されているコンテンツの復号化に使用されます。

AACSがCSSと異なる点は、複数のデバイスキーが存在することです。これにより、仮に一部のデバイスキーが流出したとしても、そのキーを無効化し、メディアキーブロック（MKB）から除外することで、システム全体の無力化を防ぐことができます。また、AACSはバージョン管理されており、デバイスキーは最新のBlu-ray Discによって自動的にハードウェアに書き換えられます。

法的根拠

日本の著作権法では、技術的保護手段の対象に各種記録媒体が含まれており、技術的保護手段の回避を規制する条文が設けられています。これにより、私的使用目的であっても、技術的保護手段の回避によって可能になった複製を知りながら行うことは、民事上違法となります。また、技術的保護手段の回避を可能にする装置やプログラムの譲渡などは、刑事罰の対象となります。

Image Constraint Token（ICT）

アナログ出力による不正コピーを防止するために、映像・音声出力にはHDMIなどのセキュアなデジタルインターフェースが必須となるImage Constraint Token（ICT）も制定されました。ICTは、HD画質でのアナログ出力を制限し、SD画質にダウンコンバートするシステムです。当初、HDでのアナログ出力は禁止される予定でしたが、HDMI非搭載のテレビが普及していたため、SD/HDともにアナログ出力が許可されることになりました。しかし、2011年1月1日以降はHDでのアナログ出力が可能な機器の製造が禁止され、2014年1月1日以降はアナログ出力可能な機器の製造と新規販売が全面禁止となりました。ただし、これはAACSの対象となるコンテンツ再生時に限られており、家庭用ビデオカメラで撮影した映像や過去に録画したアナログ放送などは、従来通りアナログ出力が可能です。

AACS LAの創立メンバー

AACS LAは、以下の企業によって創立されました。

IBM
インテル
マイクロソフト
パナソニック
ソニー
東芝
ウォルト・ディズニー・カンパニー
ワーナー・ブラザース

関連事項

DeCSS: CSSの暗号を解除するソフトウェア
BackupHDDVD: HD DVDのコピーを可能にするソフトウェア
ISAN: 国際標準視聴覚番号
D端子: アナログ映像出力端子
S端子: アナログ映像出力端子
HDMI: デジタル映像・音声出力端子

外部リンク

AACS

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