HEROMAN

HEROMAN：スタン・リー原作による日米合作ロボットアニメ

概要

『HEROMAN』（ヒーローマン）は、2010年4月1日から9月23日にかけてテレビ東京系列で放送された、日本とアメリカ合衆国による合作テレビアニメ作品です。アニメーション制作は株式会社ボンズが担当しました。アメリカの西海岸を舞台に、偶然にも超人的な力を得たロボット「ヒーローマン」と少年ジョーイの活躍を描いた、正統派のヒーローアクション作品となっています。

企画の経緯

本作の原作は、マーベル・コミックスの生みの親として知られる、アメリカの漫画界の巨匠スタン・リーが務めています。企画は、日本のアニメ制作に興味を持っていたスタン・リーと、ボンズ代表取締役の南雅彦氏との意見交換からスタートしました。スタン・リーは「21世紀のまったく新しいスーパーヒーローを作り出すべく4年間を費やした」と語っており、アニメーション制作には約2年の歳月がかけられました。

キャラクターデザインには、アメリカンコミックスに精通したコヤマシゲト氏、クリーチャーデザインには武半慎吾氏といった実力者が参加しました。脚本は大和屋暁氏、監督は難波日登志氏が務めています。一般的なアニメ制作とは異なり、監督はスタッフがほぼ決定した後に参加するという、珍しい制作体制をとっていました。

2008年4月に『Newtype』誌上で企画が発表されると、日米双方から注目を集めました。当初は全8部構成（4クール）の放送を予定していましたが、リーマン・ショックの影響により、2クール（全18話）に短縮されました。そのため、いくつかのアイディアはお蔵入りになってしまったとのことです。しかし、スタッフは第二期の制作に意欲的であり、ラストシーンにもその意図が感じられます。

アニメーション制作

アニメーション制作においては、スタン・リーの要望や意見が積極的に取り入れられています。「絶体絶命の窮地からの逆転劇」「勧善懲悪のストレートなストーリー」といった、王道的な展開はスタンの影響が色濃く反映されています。ただし、重要な設定などは日本のスタッフが手がけており、スタンの原案は「スパイス」のような役割だったと制作陣は述べています。スタンの多忙さから、後半部分の制作は日本人スタッフが中心となって行われました。

監督の難波日登志氏は、スタンのプロットを読んだ際、その濃密さとスピード感に驚いたと語っています。8話程度の尺に、通常1年かけて制作するほどの内容が凝縮されていたといいます。

また、本作では、声優やスタッフを招いたファン感謝イベントなどが行われるなど、ファンとの交流も盛んに行われていました。例えば、第2話に登場したラジカセを持った女性キャラクターの名前は、Twitterでのファンからの投稿をもとに「デイジー」に決定されました。

ストーリー

主人公は、両親を亡くし祖母と暮らす13歳の少年ジョーイです。彼は、廃棄されていたロボット玩具を修理し、「ヒーローマン」と名付けます。ある日、ヒーローマンは落雷によって超人的な力を持つロボットへと進化します。ジョーイはヒーローマンと心を通わせ、地球侵略を企む宇宙人「スクラッグ」や、様々な敵に立ち向かっていきます。

物語は大きく3部構成で展開します。まず、スクラッグの侵略を防ぎ、その後、政府の陰謀に巻き込まれたヒーローマンの汚名を晴らし、最後にスクラッグの残党の脅威に対抗します。

登場キャラクター

ジョーイ: 13歳の少年、ヒーローマンのコントローラーを操作して戦う。
ヒーローマン: ジョーイのパートナーである巨大ロボット。
サイ: ジョーイの親友、電動スケボーで彼らをサポートする。
リナ: ジョーイのクラスメイト、チアリーダーで彼を応援する。
デントン: ジョーイたちの協力者となる科学教師。
ウィル: リナの兄、スクラッグに洗脳されるが、のちにジョーイたちと共闘する。
ニック: ウィルの取り巻き、スクラッグに洗脳される。
スクラッグ: 地球侵略を企む宇宙人。
ゴゴール: スクラッグのリーダー格。
ドクターミナミ: ヒーローマンを敵視するロボット工学者。

その他

本作は、アニメ放送に先駆けて漫画版も『月刊少年ガンガン』で連載されました。また、ニンテンドー3DS用ゲームソフト『スーパーロボット大戦UX』にも参戦しています。主題歌、挿入歌、BGMなどを収録したサウンドトラックも発売されています。

まとめ

『HEROMAN』は、スタン・リーの原作、ボンズの制作陣による高いクオリティ、そして魅力的なキャラクターとストーリーが融合した、記憶に残るロボットアニメ作品です。王道的な展開の中に、日本のスタッフによるオリジナリティが加えられており、世界観も丁寧に作り込まれています。未見の方は、ぜひ一度ご覧になってみてください。

もう一度検索