HM7B

HM7Bロケットエンジン：欧州初の液体水素・液体酸素エンジン

HM7Bは、欧州宇宙機関（ESA）のアリアンVロケットの上段、特にアリアン5 ECAおよびESC-Aに搭載されているロケットエンジンです。液体水素と液体酸素を推進剤とするガス発生器サイクルを採用した、欧州初のエンジンとして知られています。アリアン5の上段エンジンは、Vinciエンジンによって置き換えられる予定ですが、HM7Bはこれまでに300基近くが生産され、長きにわたり宇宙開発を支えてきました。

開発の歴史

HM7エンジンの開発は1979年、HM4エンジンをベースに、アリアン1ロケットの3段目用エンジンとして開始されました。そして、1979年12月24日、初飛行となるCAT-1衛星の軌道投入に成功しました。

アリアン2およびアリアン3の導入にあたっては、上段エンジンの性能向上が不可欠でした。そのため、エンジンノズルを延長し、燃焼室の圧力を30バールから35バールに高めることで比推力を向上させ、燃焼時間を570秒から735秒に延長する改良が加えられました。1983年に認証試験を完了し、改良型はHM7Bとして分類されました。

HM7Bは、アリアン2、アリアン3と同様に、アリアン4の3段目にも搭載され、燃焼時間は780秒に延長されました。2002年には、最初のアリアン5 ECAで初めて使用されましたが、1段目から分離する前に打ち上げは失敗に終わりました。しかし、2005年2月12日には、HM7Bは初めてアリアン5 ECAの上段エンジンとして作動し、その役割を果たしました。

低温エンジンへの切り替えは応答性が高く、アリアン5 ECAは従来のアリアン5Gよりも積載量が増加しました。HM7およびHM7Bエンジンファミリーは、アリアン1からアリアン4での使用において5回の失敗を経験しています。フライトV70は、現時点でHM7Bの最後の失敗となっています。

エンジンの概要

HM7Bは、ガス発生器サイクルの液体水素と液体酸素を推進剤とするロケットエンジンであり、再着火機能は搭載されていません。アリアン5では連続950秒作動し（アリアン4では780秒）、推力は62.7kN、比推力は444.2秒、燃焼圧力は3.5MPaとなっています。

各国のエンジンとの比較

HM7Bは、その開発時期や性能から、各国の様々なロケットエンジンと比較することができます。類似のエンジンとしては、HM4、RL-10、Vinciなどが挙げられます。これらのエンジンと比較することで、HM7Bの技術的な特徴や位置づけをより深く理解することができます。

参考文献

宇宙機の推進方法
Cryotechnics - Laboratoire de Chimie industrielle - Université de Liège - Liège - Belgique

外部リンク

* Cryotechnics - Laboratoire de Chimie industrielle - Université de Liège - Liège - Belgique

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