HRP (航空機)

パイアセッキ HRP レスキュアー

パイアセッキ HRP レスキュアー（Piasecki HRP Rescuer）は、アメリカ海軍が運用した歴史的なタンデムローターの輸送・救難ヘリコプターです。この機体はフランク・パイアセッキの設計によって生まれ、パイアセッキ・ヘリコプター社で製造されました。HRPシリーズには、HRP-1とHRP-2というモデルが存在し、前者はアメリカ海軍と海兵隊、そしてアメリカ沿岸警備隊に配備されました。

開発背景

1944年2月、アメリカ海軍とパイアセッキ社はHRPの開発契約を結び、QR0R0FHR-1という名称の試作機が開発されました。初飛行は1945年3月、ペンシルベニア州モートンで行われました。この試作機は当初「ドッグシップ」として知られ、600hpを誇るプラット・アンド・ホイットニー R-1340-AN-1星型エンジンを搭載していました。機体の特長には、前後のローターの接触を避けるために胴体が上方に湾曲したデザインがあります。

初期の試験ではトランスミッションの不具合が発生しましたが、その原因が自動車用部品の使用にあることが判明し、改良が施されました。最終的に、XHRP-1として名付けられた試作機が、静止テスト用と飛行テスト用に2機製造されました。

運用の歴史

HRP-1はアメリカ初の本格的な輸送能力を持つ軍用ヘリコプターとして就役し、早くも兵員や貨物を輸送する任務に就きました。HRP-1は、独特な形状により「空飛ぶバナナ」という愛称でも親しまれ、1947年8月15日に初飛行しました。最終的に20機がアメリカ海軍に発注され、沿岸警備隊や海兵隊に配備されました。

HRP-1の仕様には、載客能力として8名の兵員または907kgの貨物を搭載可能で、全長は16.46メートル、全高は4.52メートルです。旋回面積245.30平方メートルを持ち、空虚重量は2,404kg、全備重量は3,277kgでした。また、最高速度は169km/h、航続距離は483kmという性能を有していました。

ただし、運用中にはエンジンマウントの破損や外皮剥離などの初期不良や整備の問題も多く報告されましたが、それらの克服を経てパイアセッキのタンデムローター設計は成功へと繋がりました。この機体は後のパイアセッキ H-21シリーズの開発にも大きな影響を与えました。

派生型・要目

HRP-1の派生型には、ライト R-975星型エンジンを搭載した試作機のPV-3や、沿岸警備隊向けのHRP-1Gなどがあります。また、全金属外皮を持つHRP-2も製造され、合計で35機が生産されました。

特にHRP-1は海兵隊のヘリコプター輸送飛行隊HMX-1に配備され、様々な軍事演習で活躍しました。発展と改良が続けられたHRPシリーズは、その後のヘリコプターの設計において重要なマイルストーンとなりました。

参考資料

• - Taylor, Michael J. H. (1989). Jane's Encyclopedia of Aviation. London: Studio Editions
• - The Illustrated Encyclopedia of Aircraft (Part Work 1982-1985). Orbis Publishing.

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