HS2

HS2（High Speed Two）とは



HS2（High Speed Two）は、イギリス政府が主導する高速鉄道路線計画であり、High Speed Two Ltd.によって事業が進められています。この路線は、ロンドンのユーストン駅とバーミンガムを結ぶ第一期工事を基軸とし、CTRL（High Speed One）と接続することで、イギリス北西部とヨーロッパ大陸を高速鉄道で結ぶ壮大な構想です。


当初の計画と現状



当初、HS2は設計速度400km/h、営業運転速度360km/hを想定し、大型客車が運行可能な規格で設計されました。第一期区間は2017年に建設が開始され、2025年までの完成、2026年の営業開始を目指していました。しかし、2023年現在も第一期工事は継続中で、バーミンガム以北の第二期工事は全て中止となっています。


ロンドン側のターミナル：ユーストン駅



ロンドン側のターミナルは、ユーストン駅を拡張・再整備する計画でした。24のプラットフォームを持つ大規模な駅に生まれ変わり、HS1への連絡線やセント・パンクラス駅へのピープルムーバーも整備される予定でした。また、地下鉄のユーストン・スクエア駅も再整備される計画でした。しかし、資金不足により、ユーストン駅の代替としてオールド・オーク・コモン駅が建設され、2023年10月には、ユーストン駅への延伸計画が不確実な状況となりました。


バーミンガム側のターミナル：バーミンガム・カーゾン・ストリート駅



バーミンガム側のターミナルは、バーミンガム・カーゾン・ストリート駅が設置されます。この駅はムーアストリート駅に隣接し、415mの有効長を持つ6つのプラットフォームを備えます。ニューストリート駅へはピープルムーバーが整備され、2分で乗り換えが可能です。駅の設計は北京南駅を手がけたテリー・ファレルが担当します。駅建設を契機に周辺地域では再開発が進み、Birmingham City Universityの新キャンパス建設も計画されています。また、バーミンガム国際駅に隣接するジャンクションも計画されており、ロンドンからバーミンガム空港まで40分でのアクセスが可能になります。


歴史的背景



2007年、イギリス政府は高速鉄道計画の必要性を発表しましたが、建設費の不足が課題でした。2012年と2013年にそれぞれ第一期線と第二期線の計画が承認され、2017年に第一期線の着工が始まりました。当初、総工費は557億ポンドと見積もられていましたが、土地買収や環境対策などでコストが膨れ上がり、2019年には880億ポンドに達する見通しとなりました。独立調査委員会はさらに15～20％の上昇を見込んでいましたが、ボリス・ジョンソン首相は計画の続行を表明しました。しかし、2021年には第二期区間の一部が中止され、2023年10月には残りの第二期区間も中止が決定しました。これにより、360億ポンドの予算が北部交通網の整備に振り向けられることになりました。


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