HU-16 (航空機)

HU-16 アルバトロス：アメリカ海軍と空軍の水陸両用飛行艇

HU-16は、アメリカ合衆国のグラマン社が開発した水陸両用飛行艇で、その愛称は「アルバトロス」です。正式名称は社内記号G-64であり、第二次世界大戦中のJRFグースの後継機として、海軍と空軍によって使用されました。最初はアメリカ海軍のJR2Fとして発注されましたが、空軍からもSA-16としての発注がありました。1955年には海軍内での呼称がUF-1へと改変され、また1962年の軍用機の呼称統一により最終的にHU-16という名称に統一されました。

設計と開発

アルバトロスは墜落したパイロットの救出任務を効率的に行うため、陸上や外洋でも運用できるように設計されました。その深く長いV字断面の胴体は、波のある海面への着水を可能にしています。また、SA-16Aモデルでは12台の担架を収納することができ、広範囲にわたる救助活動が実施されました。最初のサプライはアメリカ空軍に300機近くが供給され、他国へも提供されました。

1953年には、雪や氷の上でも運用できるように装備を改良しました。具体的には、胴体とフロートの下にスキーを装着する技術が開発され、127セットが空軍に納入されました。さらに、1955年には主翼を延長し、飛行性能の向上を図ったSA-16Bも開発され、この型もまたSA-16Aからの改造が行われました。海軍モデルのUF-1も同様に改造され、UF-2として再編成されました。

経歴と運用

アルバトロスの中で最も多く使用されたのはアメリカ空軍の救難部隊でした。特に朝鮮戦争では、SA-16を使用して多くの救助活動が行われ、その頑丈さと海上での優れた性能から高い評価を受けました。HU-16B型はベトナム戦争でも同様に救難任務に用いられ、またアメリカ海軍のHU-16D型も捜索救難任務に従事しました。さらに、アメリカ沿岸警備隊でも長年にわたって運用され、存在感を示しました。

日本においては、1961年に海上自衛隊に6機のUF-2が提供され、「かりがね」という愛称で呼ばれていました。これらはPBY-6AやJRF-5の後継機としての役割を果たし、そしてUS-1が実用化されると、1976年に全てが退役しました。また、1機のUF-1は新明和工業で改造され、データ収集用のUF-XSとして利用されました。

事故とトラブル

1965年7月29日には、夜間訓練中の9051号機が北海道の山に激突し、全ての乗員が殉職する事故が発生しました。これにより、HU-16の運用における安全性が再考されるきっかけとなりました。

各型の解説

• - XJR2F-1: 海軍の試作型（2機のみ）
• - SA-16A: 空軍型（呼称統一後にHU-16A）
• - SA-16B: 空軍型（同様にHU-16B）
• - UF-1: 海軍型（後にHU-16C）
• - UF-2: 海軍型（呼称統一後にHU-16D）

使用国

HU-16は、アメリカ合衆国の他にも、アルゼンチンやブラジル、カナダ、フィリピン、タイなど様々な国で運用されました。多くの軍隊において、優れた水陸両用能力を活かして救難任務が行われました。

性能諸元

例えば、SA-16Aは以下の通りです。

• - 乗員: 2名（操縦士、副操縦士）
• - 収容人員: 乗客30名
• - 最大離陸重量: 33,000ポンド（約15,000kg）
• - エンジン出力: 1,425馬力×2基

このように多様な設計と性能を持つHU-16は、様々な緊急救助活動においてその役割を果たしてきました。

結論

HU-16アルバトロスは、長い歴史を持ち、数多くの任務を遂行してきた飛行機であり、その多様性と性能は今なお多くの航空機ファンやミリタリーファンに愛されています。

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