Heaven Beach

杏里『Heaven Beach』：シティポップの幕開けを告げた名盤

1982年11月21日にリリースされた杏里の4枚目のスタジオ・アルバム『Heaven Beach』は、彼女のキャリアにおけるターニングポイントであり、その後の日本の音楽シーン、特にシティポップの隆盛に大きな影響を与えた作品として知られています。

概要

アルバムのキャッチコピー「キラめき輝く砂浜、潮風しみた白いカフェテラス―――光が海を走る!そう、ここは時を優しく包む愛のヘブン・ビーチ。」が示すように、本作は前作『哀しみの孔雀』のヨーロピアンサウンドから一転、軽快で都会的なポップスへと大きく舵を切りました。全編曲を瀬尾一三が担当し、ブレッド&バター、小林武史、神田広美、そして当時杏里と同じ事務所に移籍した角松敏生といった豪華な作家陣が楽曲を提供しています。

楽曲について

アルバムからは「Fly By Day」がシングルカットされ、B面には「Memorial Story」が収録されました。2011年にはBlu-spec CDが発売され、ボーナストラックとして「思いきりアメリカン」のB面曲「風の中でloving you」が追加収録されています。

特に注目すべきは、A-2に収録された「Last Summer Whisper」です。近年、世界的なシティポップブームの影響を受け、海外の音楽ファンの間で大きな話題を呼びました。発売当時は『CAT'S EYE』の大ヒット前であり、販売数も少なかったため、カセットテープ、アナログ盤ともに稀少盤として高値で取引される現象が起きました。

このアナログ盤価格の高騰を受け、再発売を希望する声が高まり、2023年7月19日には特に人気のある本作と、ファンから角松三部作と呼ばれている『Bi・Ki・Ni』、『Timely!!』、『COOOL』の4枚が、復刻アナログ盤として限定発売されました。

収録曲

1. 二番目のaffair
2. Last Summer Whisper
3. Lonely Driving
4. Resolution
5. Fly By Day
6. Flash Back Memories
7. Honesty Man
8. Memorial Story
9. 夏に背を向けて
10. Heaven Beach

ボーナス・トラック (CD / Blu-spec CD)

1. 風の中でloving you

スタッフ

編曲: 瀬尾一三
エンジニア: 石塚隆史
ディレクター: 恒冨宣男
フォトグラファー: 大久保尚子
アートコーディネーター: 渡邊富夫
デザイン: take + i

『Heaven Beach』は、杏里の新たな音楽性の幕開けを告げるとともに、日本のシティポップの礎を築いた重要な作品として、これからも多くの音楽ファンに愛され続けるでしょう。

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