I-4 (航空機)

ツポレフ I-4

ツポレフ I-4は、ソビエト連邦で開発された歴史的な複葉単座戦闘機です。1927年にツポレフ設計局でパーヴェル・スホーイの指導のもとに設計されたこの機体は、特にソ連初の全金属製戦闘機として注目されました。このI-4は、国の軍事航空史における重要なステップを象徴する存在です。

設計と開発

I-4の開発は、最初の試作機であるANT-5から始まりました。ANT-5は初飛行を経て、その設計にいくつかの重要な改良が加えられました。具体的には、抵抗を減少させるための新型エンジンカウルの装着、尾翼面積の拡大、さらに上翼へのロケットランチャーの追加が行われました。下翼は、主に翼間支柱の付属物として設計され、次世代の生産型であるI-4Zでは下翼が大幅に短縮されました。そして、最終モデルであるI-4bisでは下翼が完全に取り除かれ、複葉機からパラソル翼の単葉機に移行しました。

運用史

I-4は1928年から1933年にかけて、合計で369機が生産されました。この機体は、ソ連空軍で広く運用され、またヴラヂーミル・ヴァフミストローフが率いるズヴェノー・プロジェクトにおいてTB-1爆撃機に搭載されるパラサイト・ファイターとしても実験的に使用されました。このプロジェクトで使用されたI-4は、下翼が無いタイプであり、その設計の柔軟性が評価されました。

派生型

ツポレフ I-4にはいくつかの派生型があります。代表的なものを以下に示します。

• - ANT-5: 試作機
• - I-4: 主要な戦闘機型
• - I-4Z: 下翼の幅を短縮した戦闘機型
• - I-4bis: 下翼を完全に取り除いた戦闘機型
• - I-4P: 水上機型

要目

ツポレフ I-4の主な性能は次の通りです。

• - 乗員: 1名
• - 全長: 7.27 m
• - 全幅: 11.42 m
• - 全高: 2.82 m
• - 翼面積: 23.8 m²
• - 空虚重量: 978 kg
• - 全備重量: 1,430 kg
• - エンジン: M-22 星型エンジン (343 kW, 出力460 hp)
• - 最大速度: 257 km/h
• - 航続距離: 840 km
• - 実用上限高度: 7,655 m
• - 上昇率: 555 m/min
• - 武装: 7.62mm機関銃×2

ツポレフ I-4は、初の全金属製戦闘機としてのユニークな地位を持ち、ソビエト連邦における航空技術の発展を促進させる重要な役割を果たしました。この機体の設計と運用は、その後の航空機開発における基盤を築いたと言えるでしょう。

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