I-ELOOP

マツダの減速エネルギー回生システム「i-ELOOP」：燃費向上と環境への配慮

マツダが開発した「i-ELOOP（アイ・イーループ）」は、革新的な減速エネルギー回生システムです。2012年に3代目アテンザに初搭載され、乗用車として世界で初めて電気二重層キャパシタ（キャパシタ）を採用したことで注目を集めました。本システムは、車両の減速時に発生するエネルギーを回収し、再利用することで、燃費向上に大きく貢献しています。

i-ELOOPの仕組み：エネルギーの回収と再利用

i-ELOOPは、アクセルペダルから足を離した際の減速時に作動します。この際、12～25Vの可変電圧式オルタネータがタイヤの回転エネルギーを利用して発電し、その電力をキャパシタに蓄えます。その後、加速時にはキャパシタから電力を供給することで、エンジンの負担を軽減し、オルタネータの発電を休止します。このメカニズムにより、燃料消費量の削減を実現しています。

蓄えられた電力は、DC-DCコンバータによって降圧され、車載電装品に供給されます。さらに、余剰分は従来の鉛蓄電池へと送られ、安定的な電力供給を確保しています。

キャパシタのメリット：迅速な充放電と環境への配慮

i-ELOOPに採用されているキャパシタは、二次電池とは異なり、化学変化を伴わず電子を物理的に蓄積します。そのため、充放電が非常に高速に行え、充放電による劣化が少なく、長寿命です。また、主な原料がヤシ殻由来の活性炭であるため、環境負荷の低減にも貢献しています。

燃費向上効果と搭載車種

マツダは、i-ELOOPの実用走行において約10％の燃費改善効果があると発表しています。この優れた燃費向上性能から、多くのマツダ車に搭載されています。搭載車種には、デミオ、MAZDA2、CX-3、アクセラ、MAZDA3、CX-30、CX-5（中国仕様、2代目の一部モデル）、アテンザ、MAZDA6、CX-8、ロードスター、CX-4（中国仕様）などがあります。

i-ELOOPの技術的優位性

i-ELOOPは、従来の回生システムと比較して、以下の点が優れています。

高速な充放電： キャパシタの特性により、素早いエネルギーの出し入れが可能で、効率的なエネルギー管理を実現しています。
長寿命： 化学変化を伴わないため、充放電による劣化が少なく、システムの長寿命化に貢献しています。
* 環境への配慮： 主な材料に環境負荷の低い活性炭を使用し、廃棄時の環境への影響を低減しています。

まとめ：燃費と環境に配慮した先進技術

マツダのi-ELOOPは、エネルギー回生技術とキャパシタの優れた特性を組み合わせることで、燃費向上と環境への配慮を両立した画期的なシステムです。今後も、マツダの環境技術における重要な役割を担っていくものと期待されます。i-ELOOPは、マツダのSKYACTIV TECHNOLOGYという包括的な技術戦略の一環として開発されており、同社の環境への取り組みを象徴する技術の一つと言えるでしょう。

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