SKYACTIV TECHNOLOGY

SKYACTIV TECHNOLOGY：マツダの革新技術のすべて

マツダが開発したSKYACTIV TECHNOLOGY（スカイアクティブ・テクノロジー）は、同社の自動車技術を包括的に表す言葉です。単なるエンジン技術の枠を超え、エンジン、トランスミッション、ボディ、シャシー、そして車両運動制御技術までを包括的に刷新した、画期的な取り組みです。

誕生の背景

SKYACTIVの名称は、社内では「のびのびエンジン」と呼ばれていた開発コンセプトから生まれました。自由な発想と革新的な技術開発を重視した結果、従来技術にとらわれない、全く新しい自動車技術が誕生しました。「SKY」単体では商標登録が難しかったため、「ACTIV」が付け加えられ、「SKYACTIV」となりました。この名称には「Sustainable Kinetic Yield（持続可能な動的収穫）」と「The sky's the limit（限界なんてない）」という2つの意味が込められています。

SKYACTIV TECHNOLOGYの構成要素

SKYACTIV TECHNOLOGYは、以下の技術群から構成されています。

エンジン:
SKYACTIV-G（ガソリンエンジン）：高圧縮比による高効率燃焼が特徴。
SKYACTIV-D（ディーゼルエンジン）：クリーンで高効率なディーゼル燃焼を実現。
SKYACTIV-X（火花点火制御圧縮着火ガソリンエンジン）：世界初の実用化を達成した革新的なガソリンエンジン。
トランスミッション:
SKYACTIV-DRIVE（6速オートマチックトランスミッション）：高効率と滑らかな変速を実現。
SKYACTIV-MT（6速マニュアルトランスミッション）：軽快な操作性と高効率を両立。
ボディ: SKYACTIV-BODY：軽量かつ高剛性なボディ構造。
シャシー: SKYACTIV-CHASSIS：優れた走行性能と快適性を両立。
車両運動制御技術: SKYACTIV-VEHICLE DYNAMICS：統合制御によるスムーズで安全な走行を実現。G-ベクタリングコントロール(GVC)はその代表例です。

これらの技術は、従来の自動車開発におけるエンジン、トランスミッション、プラットフォームといった主要コンポーネントの設計時期が異なるという課題を克服するために、包括的かつ同時に刷新されました。これにより、車両全体の最適化が実現し、カタログスペック通りの性能を全車に保証するという、同価格帯では異例の取り組みも実現しています。

開発の歴史

SKYACTIV TECHNOLOGYの開発は、2007年の「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言」に端を発します。その後、2009年の東京モーターショーで新型パワートレーンSKYコンセプトが公開され、2010年にSKYACTIVとして正式発表されました。2011年にはデミオへのSKYACTIV-G搭載を皮切りに、様々な車種にSKYACTIV TECHNOLOGYが搭載されてきました。2012年にはCX-5、2013年にはアクセラなど、SKYACTIV TECHNOLOGYを全面的に採用した車種が数多く発売され、高い評価を受けました。2016年には車両運動制御技術SKYACTIV-VEHICLE DYNAMICSを発表、2017年にはSKYACTIV-Xの市販化を発表するなど、技術開発は現在も継続されています。

ビルディングブロック戦略

マツダは、自動車の燃費向上戦略として「ビルディングブロック戦略」を採用しています。これは、エンジン、トランスミッション、プラットフォームといったベース技術の基本性能を優先的に高めた上で、電気デバイスの採用を拡大していくという戦略です。SKYACTIV TECHNOLOGYは、この戦略におけるベース技術として重要な役割を果たしています。電動化技術としては、i-stop、i-ELOOP、SKYACTIV-HYBRIDといった技術が段階的に導入されています。

エンジン技術の進化

SKYACTIVエンジンの開発においては、「圧縮比」、「空燃比」、「燃焼期間」、「燃焼タイミング」、「ポンピング損失」、「機械抵抗」の6つの因子を最適化することに重点が置かれました。SKYACTIV-G、SKYACTIV-D、SKYACTIV-Xは、この6つの因子を段階的に最適化することで、内燃機関としての究極の効率を目指しています。

トランスミッション技術の革新

SKYACTIV-DRIVEは、発進時のみトルクコンバータを使用することで伝達ロスを低減し、ロックアップ領域を拡大することで燃費向上を実現しました。また、機電一体制御モジュールとソレノイドバルブのトリミングにより、変速レスポンスも向上させています。SKYACTIV-MTは、軽量化と操作性の向上を両立したマニュアルトランスミッションです。

プラットフォーム技術の進化

SKYACTIV-BODYは、「ストレート化」、「連続化」、「マルチロードパス」という3つの基本コンセプトに基づいて設計されました。高張力鋼板の使用比率を高めることで、軽量化と高剛性化を実現しています。SKYACTIV-CHASSISは、優れた走行性能と快適性を両立したシャシー技術です。

SKYACTIV TECHNOLOGYの今後

マツダは、今後もSKYACTIV TECHNOLOGYの進化を続け、環境性能と走行性能の両立を目指していくでしょう。次世代技術の開発も積極的に進め、持続可能なモビリティ社会の実現に貢献していくことが期待されています。

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