I.MX

Freescale i.MXシリーズの概要

Freescale i.MX（アイドット・エムエックス）は、ARMアーキテクチャを基盤としたプロセッサファミリーで、特に低消費電力を重視したマルチメディアアプリケーションに対応するために設計されています。このプロセッサファミリーはもともとFreescale Semiconductorによって開発されていましたが、2015年12月にNXPセミコンダクターズに買収され、現在はNXPの製品となっています。

i.MXの特徴

i.MXのプロセッサは、CPU、VPU、GPUなど複数の処理ユニットが一つのダイに統合されているSystem-on-Chip（SoC）です。自動車や産業用機器、民生市場に向けて開発され、長期供給が保証されているため、多くの製品に採用されています。例えば、Ford SyncやAmazon Kindle、Sony Reader、Kobo、Logitech Harmonyリモコン、Squeezeboxラジオ、Toshiba Gigabeat MP4プレーヤーなどがi.MXプロセッサを使用しています。

i.MXはもともと「innovative Multimedia eXtension」の意味を持っていましたが、後に「DragonBall MX」ファミリーや、DragonBallマイクロコントローラの第五世代としても知られるようになりました。i.MX製品は、ハードウェア（プロセッサや開発ボード）とそれに最適化されたソフトウェアで構成されています。

i.MX5xシリーズ

i.MX5xシリーズは、ARM Cortex-A8コアを用いたもので、主に二つのファミリーが存在します。1つは高性能マルチメディアデバイス向けのi.MX51ファミリ、もう1つはeリーダー向けのi.MX50ファミリです。このシリーズはCMOS 65nmプロセス技術を利用して設計されています。

i.MX50ファミリ

i.MX508プロセッサは、E-Ink社とFreescaleの共同開発により誕生したもので、eリーダー専用に設計されています。2010年に市場に投入され、E-Inkディスプレイコントローラをシリコンに統合することによって、PCB上の部品コストとスペースを同時に削減しました。i.MX508の主なスペックには、800 MHzのARM Cortex-A8プラットフォームと2.5D GPU、E-Inkディスプレイコントローラが含まれています。

i.MX51ファミリ

i.MX51ファミリは2009年に発表され、DDR2メモリを200MHzでサポートしています。このファミリの中核的なプロセッサには以下のような製品があります。

• - i.MX512 (コンシューマ/産業用): 800 MHz ARM Cortex-A8 (産業用モデルは 600 MHz) + IPU
• - i.MX513 (コンシューマ/産業用): 800 MHz ARM Cortex-A8 (産業用モデルは 600 MHz) + HD VPU + IPU

i.MX6シリーズ

i.MX6シリーズは、ARM Cortex-A9アーキテクチャを利用しており、シングルコア、デュアルコア、クワッドコアのバリエーションがあります。これもCMOS 40nmプロセス技術を採用して設計され、2011年1月に発表され、2012年12月には量産が始まりました。

i.MX6 Dual/Quadファミリ

i.MX6 Dual/Quadファミリは各種のGPUを統合しており、1080pのフルHD VPUをサポートしています。これにより、映画やゲームの再生をスムーズに行うことができます。さらに、各モデルには複数のセキュリティ機能も備えられています。

ソフトウェアサポート

i.MXプロセッサは、AndroidおよびLinux環境でのサポートが充実しています。特に、Freescaleは2010年2月にi.MX5x向けにAndroidプラットフォームを立ち上げ、またLinux開発キットにはGNOME環境が含まれています。このほか、Windows CEの開発キットも提供されています。

競合プラットフォームと関連項目

i.MXと似たプラットフォームには、Apple AシリーズやExynos、QualcommのSnapdragonなど、数多くの並行技術が存在します。また、関連する企業にはFreescale Semiconductorが挙げられ、公式ウェブサイトやコミュニティでは詳細な情報が提供されています。

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