IAF エアロバティックチーム

IAFエアロバティックチーム：イスラエル空軍の華麗なる飛行隊

イスラエル航空宇宙軍(IAF)の曲技飛行隊、IAFエアロバティックチームは、その高度な飛行技術と鮮やかなチームワークで知られています。南部のハツェリム空軍基地を拠点とし、イスラエルの空を彩る存在として、国民から高い人気を誇ります。

ハツェリム空軍基地とチームの活動

ハツェリム空軍基地には、イスラエル空軍フライトアカデミーやイスラエル空軍博物館も併設されており、航空関連施設の中心地となっています。IAFエアロバティックチームは、イスラエル独立記念日や空軍記念日の祝典、フライトアカデミーの卒業式などで、その華麗な飛行を披露しています。

チームは現在、熟練のパイロット4名と、隊長機のナビゲーター1名、計5名で構成されています。全員が現役のフライトアカデミー教官を兼務しており、高い指導力と飛行技術を兼ね備えた精鋭たちです。使用機体は、通常時は練習機として使用される機体と共通の塗装が施されており、任務によっては訓練機として運用されている点が特徴です。現在の機体は赤と白のツートンカラーですが、過去には青と白の塗装でした。

チームの創設と歴史

イスラエル空軍における最初の編隊飛行チームは、1950年、イスラエル建国直後に設立されました。当初はPT-17練習機を使用する小規模なチームでしたが、その後、T-6Gテキサン、スピットファイアIX、P-51Dマスタングなどを使用する非公式な展示飛行チームが、ハイファ空港やラマト・ダヴィド空軍基地で活動を始めました。

1954年、ラマト・ダヴィド空軍基地を離陸したP-51Dマスタング3機のうち2機が空中衝突事故を起こし、パイロット2名が亡くなりました。この痛ましい事故を受け、イスラエル空軍は正式なエアロバティックチームの創設を決定。3ヶ月後の1954年11月、ハツェリム空軍基地にIAFエアロバティックチームが正式に発足しました。最初の使用機材はT-6Gテキサンでした。

フーガ・マジステールとIAIツヅキット時代

1960年代に入ると、チームの装備機はフランス製のフーガ・マジステールに更新されました。フーガ・マジステールは1950年代に初飛行し、イスラエル空軍では練習機や軽攻撃機として広く運用されていました。フランス空軍の曲技飛行隊「パトルイユ・ド・フランス」でも1980年頃まで使用されていた実績のある機体です。

その後、イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ社がフーガ・マジステールをライセンス生産、発展改良したIAIツヅキットが1980年代からイスラエル空軍の練習機として運用開始されました。IAFエアロバティックチームも1986年までに、フーガ・マジステールからIAIツヅキットに機種転換を行いました。

ビーチT-6A テキサンII時代

2009年からは、ピラタスPC-9をベースにレイセオン・ビーチ社がアメリカ軍向けに改良したT-6AテキサンIIが、IAIツヅキットの後継機として配備されました。IAFエアロバティックチームも2010年頃までに、4機のツヅキットをT-6AテキサンIIに更新しました。現在もT-6AテキサンIIが主力機として活躍しています。以前使用されていたテキサンとPT-17も一部残存し、編隊飛行などには使用されていますが、曲技飛行は行っていません。PT-17は、上部主翼に国旗を掲げて飛行するなど、特別な任務も担っています。

IAFエアロバティックチームは、高度な飛行技術と美しい編隊飛行で、イスラエル空軍のみならず、世界中の人々を魅了し続けています。これからも、イスラエルの空を舞台に、その華麗な飛行を披露し続けることでしょう。

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