IBEX (人工衛星)

IBEX (Interstellar Boundary Explorer) について

IBEX（アイビックス、Interstellar Boundary Explorer）は、アメリカ航空宇宙局（NASA）が開発した人工衛星であり、NASAのSMEX（小型探査機）プログラムの一つです。太陽系と星間宇宙との境界領域の探査を目的としています。

開発

IBEXは、太陽系の外縁部、特に太陽圏（ヘリオスフィア）と星間宇宙との境界領域の地図を作成するために開発されました。このプロジェクトは、サウスウエスト研究所が主導し、IBEXの全体的な開発を指揮しました。

搭載された観測機器のうち、高エネルギー粒子を観測するIBEX-Hiは、サウスウエスト研究所とロスアラモス国立研究所が共同で開発しました。一方、低エネルギー粒子を観測するIBEX-Loは、ロッキード・マーティンのアドバンスド・テクノロジー・センターとサウスウエスト研究所が共同開発を担当しました。衛星の筐体部分と試験場については、オービタル・サイエンシズが提供しました。

運用

IBEXは、2008年10月19日にペガサスXLロケットによって打ち上げられました。当初の計画では、2年間の運用期間中に太陽系外縁の全領域を撮像することが目標とされていました。しかし、IBEXのミッションは延長され、2023年3月現在も運用が継続されています。これにより、太陽系の境界領域に関する長期的なデータ収集が可能となりました。

成果

IBEXによる観測によって、これまで知られていなかった太陽系の構造やダイナミクスに関する重要な発見がありました。その中でも特に注目される成果は以下の通りです。

太陽風の反射: IBEXは、太陽から放出される太陽風の一部が、太陽圏の最外縁である衝撃波面の付近で反射され、地球近傍まで戻ってくる現象を初めて観測しました。この発見は、太陽風と星間物質との相互作用を理解する上で重要な知見となりました。
太陽系の尾の観測: IBEXは、太陽系が銀河の中を移動する際に形成される「尾」を初めて観測しました。これにより、太陽系の形状や、星間空間における太陽系の運動に関する新たな情報が得られました。

これらの成果は、太陽系の構造や、太陽と星間空間との相互作用を理解する上で重要な貢献をしました。

参考文献

“First IBEX Maps Reveal Fascinating Interactions Occurring At The Edge Of The Solar System”. sciencedaily.com (2009年10月). 2009年10月閲覧。
“ナショナルジオグラフィックスが伝えたIBEXの観測成果 - 太陽の移動速度、想定より遅かった”. nikkeibp (2012年5月11日). 2012年5月11日閲覧。
“New Interstellar Boundary Explorer data show heliosphere's long-theorized bow shock does not exist”. Phys.org (2012年5月). 2012年5月閲覧。
“太陽系の尾を初観測”. AstroArts (2013年7月12日). 2013年7月12日閲覧。

外部リンク

* IBEX: Interstellar Boundary Explorer

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