IBM 3480とは？意味をやさしく解説 - サードペディア百科事典

3480テープフォーマットファミリー

3480テープフォーマットファミリーは、IBMが開発・販売した磁気テープ式補助記憶装置（テープストリーマ）です。このファミリーは、1/2インチ（12.65mm）幅の磁気テープを使用し、データカートリッジは4×5×1インチのサイズで、内部にリールが1つ格納されています。テープの巻き取りはテープドライブ内で行われ、その信頼性、耐久性、メディア価格の低さから、高度な要求に応えるストレージソリューションとして長らく利用されました。

特筆すべき点として、異なる製造メーカーのドライブで記録されたテープでも、他のメーカーのドライブで読み出しができるという互換性の高さが挙げられます。1984年から2004年にかけて、IBMをはじめ、富士通、M4 Data、Overland Data、StorageTek、ビクターデータシステムズ（VDS）など様々なベンダーが3480ファミリーのテープドライブを製造しました。さらに、これらのテープドライブはDEC、MP Tapes、フィリップス、Plasmon、Qualstar、Tandem、Xcerta、Memorexといったブランドでも販売されました。IBMは、3480と3490Eテープドライブのすべてのバージョンを3480製品ファミリーとして定義しています。

インターフェース

3480は、当初メインフレームコンピュータ向けに設計されたため、初期のドライブはバスとタグインターフェースで接続されていました。その後、ESCONやSCSIインターフェースが採用され、特にSCSIの導入によってパーソナルコンピュータへの接続が可能になり、メインフレームとPC間でのデータ交換が容易になりました。

バリエーション

3480

1984年に登場した最初の3480ドライブは、薄膜ヘッドを採用した初のテープ装置であり、磁性体として酸化クロムを用いた最初の機種でもあります。18トラックの固定ヘッドを使用し、38000byte/inchの記録密度で3MB/secの高速データ転送を実現しました。これは、それまでの9トラック、6250byte/inchのドライブからの大きな進歩でした。3480フォーマットでは、1本のテープに200MBのデータを格納できました。IBMはバスとタグインターフェースのモデルを製造しましたが、他のメーカーはSCSIインターフェースモデルも販売しました。

3480 IDRC

1986年、IBMはハードウェアベースのデータ圧縮オプションであるImproved Data Recording Capability（IDRC）を追加しました。これにより、3480 IDRCドライブは1本のテープに最大400MBのデータを記録できるようになりました。このフォーマットは、一般的に3490ドライブの記録フォーマットとして知られています。3480 IDRCドライブは、通常の3480ドライブと同じテープカートリッジを使用でき、3480フォーマットでの記録再生も可能です。

3490E

1991年には、36トラックの固定ヘッドを搭載した3490Eテープドライブが導入され、テープ1本あたり800MBのデータを記録できるようになりました。さらにIDRCオプションを適用すると、拡張テープを用いて最大2400MBまで記録できました。IBMが薄膜ヘッドの生産を終了した後も、VDS（ビクターデータシステム）が3490E互換ドライブを製造していましたが、2004年に生産を終了しました。3490Eドライブは、バスとタグインターフェース、ESCON、高電圧SCSI（HVD-SCSI）など、さまざまなインターフェースに対応しており、最大20MB/秒のデータ転送速度を実現しました。

3490Eデータカートリッジは3480用と同じ外形寸法ですが、テープ自体は異なります。3490Eテープは、36トラックヘッド用に事前にフォーマットされていますが、3480ドライブでも3490Eテープへの記録が可能です。一部の3490Eドライブは、3480テープの読み出しのみ、または読み書き両方が可能でしたが、多くの3490Eドライブは36トラックテープのみを記録再生できました。

3480を越えて

3480フォーマットファミリーは、より高密度記録と高速転送レートを実現したIBM 3590やIBM 3592ファミリーに取って代わられました。3590のヘッドは128トラック、256トラック、384トラックへと進化し、IBMではMagstar、StorageTekではT9840シリーズとして展開されました。

IBM 3480