IBMのディスク記憶装置

IBMディスク記憶装置の歴史

この記事では、IBMが開発したディスク記憶装置の歴史を、主要なモデルごとに詳細に解説します。IBMサンノゼを拠点に、ロチェスターや藤沢などでも開発が進められ、コンピュータ技術の発展に大きく貢献しました。

IBM 350 RAMAC

[IBM]] 350は、世界初の商用ハードディスクドライブとして知られるIBM RAMAC 305システムの主要コンポーネントです。1956年の発表以来、500万文字]のデータを格納する能力は、当時の技術水準では画期的でした。50枚の24[[インチ磁気ディスク、1200rpmの回転速度、そしてサーボ制御によるアクセスアームは、後のハードディスクの基本設計となりました。月額3200ドルというリース価格は、当時のコンピュータシステム全体の高価格を反映しています。その巨大な筐体は、IBMの厳しい輸送ルール(標準的な戸口を通過できるサイズ)に則ったものでした。

RAMACの開発には、リアルタイム計算へのニーズが背景にあります。しかし、その重量(1トン以上)や巨大なサイズ、保守コストも問題となりました。カリー・マンス(日立グローバルストレージテクノロジーズ元副社長)の証言にもあるように、当時IBMは、より大容量のモデルへの拡張に対して慎重な姿勢を示していました。現在では、コンピュータ歴史博物館にRAMACが展示されており、その歴史的な意義を改めて認識できます。

IBM 353、355

IBM 353はIBM 7030で使用され、高速なデータ転送速度を誇りました。一方、IBM 355はIBM 650への追加装置として発表され、IBM 350と同様の機構を用いて大量のデータを保存していました。

IBM 1405、7300

IBM 1405は中規模ビジネスコンピュータであるIBM 1401シリーズ向けに設計されました。複数のディスクとトラックによる大容量記憶を実現しました。IBM 7300はIBM 7070で使用され、IBM 350などの技術を継承しています。

IBM 1301

億6800万ビット'>[IBM]] 1301は、IBM 7000シリーズやIBM 1410向けに開発された大容量ディスク記憶装置です。2800万文字]の記憶容量と高速なデータ転送速度(9[[万ワード/秒)を達成しました。革新的なヘッド機構によりアクセス時間が短縮され、ヘッドの空気力学的浮上も性能向上に寄与しました。複数のモジュール構成も特徴です。

IBM 1302、1311

IBM 1302はIBM 1301の後継モデルとして、記憶容量と転送速度を大幅に向上させました。複数のアクセスアームを採用し、性能の更なる向上を図りました。IBM 1311は中規模コンピュータ向けに設計された装置で、複数のモデルと拡張オプションが提供されました。トップローディング方式やダイレクトシークなどの機能が追加され、汎用性を高めています。また、ディスクパックの採用も重要な特徴です。

IBM 2302、2305、2310、2311、2314/2319

IBM 2302はIBM 1302のSystem/360対応バージョンです。IBM 2305はSystem/360の大型コンピュータ向けに高速なデータアクセスを提供しました。IBM 2310はIBM 1800やIBM 1130で使用され、カートリッジ式のディスクを採用しています。IBM 2311はSystem/360シリーズに幅広く対応し、互換性のある周辺機器市場の形成にも貢献しました。IBM 2314/2319は、データ密度と性能を向上させ、System/360およびSystem/370シリーズで広く利用されました。

IBM 2321、3310、3330、3333、3340、3350、3370、3375、3380、3390

IBM 2321データセルは、リムーバブルな磁気テープ片を大量に収納する大容量記憶装置です。IBM 3310はIBM 4331専用のアクセス装置として登場しました。IBM 3330は、エラー訂正機能の採用により信頼性を向上させました。IBM 3340は密閉型ディスクパックとウィンチェスター技術を採用し、ヘッドの着脱機構を簡素化しました。IBM 3350は非リムーバブルディスクパックと固定ヘッド領域を備え、性能と信頼性を高めました。IBM 3370と3375はミッドレンジコンピュータ向けに開発され、IBM 3380は高性能なディスク装置として発表されました。IBM 3390は、複数のドライブによる大容量記憶を実現しました。

IBM 9345、9330ファミリー、5444、62GV、0680、0676、0665、0667、0669、0671

IBM 9345はMRヘッドと5.25インチディスクを採用したHDDです。9330ファミリーは様々なモデルとHDDが組み合わされ、多様なニーズに対応しました。IBM 5444、62GV、そして0680、0676、0665、0667、0669、0671といったモデルは、それぞれの時代の技術を反映した製品群です。

フロッピーディスクドライブ

IBMはフロッピーディスクドライブの開発にも貢献しました。初期の読み出し専用ドライブから、読み書き両対応のドライブへと発展し、データ入力システムの一部として採用されました。しかし、フロッピーディスク技術そのものは、IBM以外の企業によって発展していきました。

HGST以降

IBMは2002年にディスクドライブ部門を日立製作所に売却しました。その後、HGST（日立グローバルストレージテクノロジーズ）を経て、ウェスタンデジタル傘下となりました。現在、IBMはストレージ装置を販売していますが、ハードディスクドライブは自社で製造していません。

まとめ

IBMは、ハードディスクドライブの歴史において重要な役割を果たしました。IBM 350 RAMACから始まり、大容量化、高速化、信頼性向上といった技術革新を続け、コンピュータ技術の発展に貢献しました。その技術は、現在に至るまで多くのハードディスクドライブに受け継がれています。

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