IBurst

iBurst（アイバースト）は、無線通信技術の規格の一つで、"i-BURST"と表記されることもあります。
この規格は、ハンドオーバーのスムーズさ、周波数利用効率の高さ、IPネットワークとの親和性、そして高品質な通信を低コストで実現することを主な特徴としています。

開発と展開

iBurstは、京セラとArrayCommによって共同開発されました。2000年代初頭には、世界各地で商用サービスが展開されました。
しかし、2014年初頭までに、京セラ及びArrayCommは、当規格に関連するWebページを削除し、規格推進団体であったiBurst AssociationもWebページを閉鎖しました。このことから、iBurst関連の活動は終了していると考えられます。

技術詳細

iBurstの技術的な詳細については以下の通りです。

想定周波数帯: 800MHz～2.5GHz
変調方式: TDMA/FDMA/SDMA/TDD
アップリンクとダウンリンク: TDMA/TDD方式で非対称に3スロットに分割
周波数分割: 5MHzの場合、8波に分割して使用(FDMA)
チャネル多重化: 同一周波数に3チャネルを多重化(SDMA)
伝送速度: 下り最大1061kbps、上り最大346kbps
1基地局あたりのトータルスループット: 24Mbps (周波数帯域が5MHzの場合)
ハンドオーバー: 時速100kmまで対応可能

標準規格と技術勧告

iBurstは、以下の標準規格や技術勧告に準拠しています。

ANSI HC-SDMA 〔ATIS-0700004.2005〕(2005年9月14日承認)
ITU-R M.1801 〔RecDoc 8/167(Rev.1 Annex.4 III〕(2007年3月28日承認)
IEEE 802.20 625k-MC Mode (2008年6月12日承認)（iBurstがベース）

商用サービス運用国・地域（2008年6月時点）

iBurstの商用サービスは、2008年6月時点で以下の国や地域で運用されていました。

アゼルバイジャン
アメリカ合衆国
ウガンダ
オーストラリア
オランダ
カナダ
ガーナ
ケニア
コンゴ民主共和国
スロベニア
タンザニア
ノルウェー
マレーシア
南アフリカ
モザンビーク
ルワンダ
レバノン

商用サービス計画中だった国・地域（2008年6月時点）

2008年6月時点で、以下の国や地域で商用サービスが計画されていました。

インド
インドネシア
オマーン
キプロス
中華人民共和国
ナイジェリア
ブルネイ
ボツワナ
ロシア

iBurstの特徴

iBurstは、当時としては先進的な技術を採用しており、特に移動時のハンドオーバーの性能が優れていました。また、周波数利用効率が高く、限られた帯域で多くのユーザーが利用できる点も特徴です。IPネットワークとの親和性が高く、インターネットとの連携が容易であったことも、この規格の利点でした。さらに、通信品質を確保しつつ、低コストでサービスを提供できる点も魅力でした。

現在の状況

iBurstの規格自体は、現在では事実上、過去の技術となっています。関連企業や団体の活動が終了していることから、今後の発展や普及は見込めない状況です。しかし、その技術的な特徴や商用展開の歴史は、無線通信技術の発展において重要な一例として、記憶されるべきでしょう。

外部リンク

iBurstSystem(京セラ日本語サイト内)(情報掲載終了) (2014-06-08T23:30JST閲覧)
ケータイ用語の基礎知識 第221回:iBurst とは (ケータイwatch)
Internet Week 2005 - Wi-Fi/WiMAX/iBurstは共存するのか、キーカンパニー代表者が各技術を解説 (マイコミジャーナル)
「iBurstは使いやすい技術」―タンザニアの大統領が京セラでiBurstを体験 (RBB TODAY)
京セラ、iBurstの説明会を開催。2GHz帯の再割当を目指す(BB Watch)
モバイルブロードバンドシステム「iBurst」をベースとした技術提案がIEEE802.20規格として正式承認 (京セラ)
iBurst Association （英語）

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