ICE L

ドイツ鉄道の新型客車列車「ICE L」

ICE Lは、ドイツ鉄道（DB）が導入を予定している、スペインのタルゴ社製の客車列車です。ドイツ鉄道が推進する脱炭素社会への転換と、老朽化した車両の置き換えを目的としています。

開発の経緯

2017年に新型客車列車の導入に関する国際入札が行われ、2019年にタルゴ社との間で最大100編成、約23億ユーロの契約が締結されました。第一次発注として23編成、5億5,000万ユーロ分の発注が実施され、2023年にはさらに56編成が追加発注されています。これらの契約に基づき、タルゴ社が製造する客車を用いた列車が「ICE L」として運行される予定です。

車両の特徴

ICE Lには、タルゴ社が開発した連接式客車「タルゴ230」が使用されます。タルゴ230は、編成最後尾に運転台付き客車を備えているため、機関車の付け替え作業が不要です。機関車は、タルゴ社製の交直流電気機関車「トラヴカ（105形）」、またはシーメンス製のバイモード機関車「ベクトロンDM」が使用されます。非電化区間を含む路線では、ベクトロンDMが用いられます。

編成は機関車を除き17両で構成され、一等座席が85席、二等座席が485席、ビストロカーが設置されます。また、自転車、スキー板、スノーボードなどを設置できるフリースペースや荷物棚も備えられています。車内ではWi-Fiが利用可能です。

車内の床面高さは760mmに統一されており、駅のプラットフォームから段差なく乗降できるバリアフリー設計となっています。ただし、編成両端の車両は衝突時の安全性と推進運転時の走行安定性を考慮し、ボギー台車を使用しているため、その部分のみ床が高くなっています。

運用計画

ICE Lは、主にICE 3、ICE 4、2階建て列車IC2が運行されていない系統への導入が想定されています。2024年10月からベルリンとアムステルダムを結ぶ国際系統で営業運転を開始する予定です。2030年までに全79編成が導入され、コペンハーゲンやウィーンへの国際列車を含め、各都市を結ぶICE Lの路線網が構築される予定です。ヴェスターラント方面など一部の系統には非電化区間が存在するため、これらの系統ではバイモード機関車が使用されます。

編成表

ICE Lの編成は以下の通りです。

機関車
一等座席車
二等座席車
ビストロカー
運転台付き客車

参考文献

タルゴ社の公式ページ

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