ICICI銀行

ICICI銀行は、インドを代表する大手商業銀行です。インド・グジャラート州ヴァドーダラに本社を置くものの、主要な業務はムンバイで行われています。同国では、規模において2番目に大きな銀行としてその地位を確立しています。

その歴史は1955年にまで遡ります。世界銀行とインド政府の協力の下、中長期のプロジェクトファイナンスを提供する金融機関として設立されました。当初は「インド工業信用投資公社(Industrial Credit and Investment Corporation of India)」という名称でした。設立当初は、インドの産業発展に資する大型プロジェクトへの資金供給に注力していました。

1990年代に入ると、インド経済の自由化と市場経済化が急速に進展しました。これに伴い、ICICI銀行は事業の多角化を進めます。プロジェクトファイナンスにとどまらず、一般の商業銀行業務へと事業領域を拡大していったのです。1994年には組織改編を行い、現在のICICI銀行へと生まれ変わりました。

グローバル展開も積極的に推進しています。1999年には、日本を除くアジアの銀行として初めてニューヨーク証券取引所に上場を果たし、国際的な認知度を高めました。2000年には、プルデンシャル・ファイナンシャルとの合弁会社であるICICIプルデンシャル生命保険を設立。生命保険事業にも参入し、事業ポートフォリオの多様化を図りました。プルデンシャルは歴史ある金融機関であり、1956年に国有化を経験した過去を持ちます。

現在、ICICI銀行は多様な金融サービスを提供しています。一般の預金や融資などの商業銀行業務に加え、投資情報サービス、証券仲介業、生命保険・損害保険など、幅広い金融サービスを顧客に提供しています。2023年3月現在、インド国内には5,900カ所の支店と16,650カ所以上のATMを設置し、国民生活に密着したサービスを提供しています。

グローバルな事業展開も特徴です。イギリスとカナダには子会社を設立し、シンガポール、バーレーン、香港、アメリカ合衆国、カタール、オマーン、アラブ首長国連邦、中国、南アフリカなど、世界中に支店や駐在員事務所を展開しています。また、米国預託証券としても取引されており、グローバルな投資家からも注目を集めています。

ICICI銀行は、設立以来、インド経済の成長を支え、その発展に貢献してきた銀行です。プロジェクトファイナンスから始まり、多様な金融サービスを提供する総合金融機関へと成長を遂げ、インド経済のグローバル化を象徴する存在となっています。今後も、インド経済のさらなる発展に貢献していくことが期待されます。

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