ID (ソフトウェア)

iDは、2013年にリリースされたOpenStreetMap（OSM）のデータをオンラインで編集するための自由ソフトウェアです。JavaScriptで開発されており、シンプルでユーザーフレンドリーな設計が特徴です。この使いやすさから、OSMのメインページにおけるデフォルトエディタとして採用されています。

幅広い利用と機能

iDは、OSMエディタの中でも最も利用されているツールの一つです。その機能には、カスタム航空写真の選択や、Mapillaryの写真へのネイティブ対応が含まれています。これにより、ユーザーはより正確で詳細な地図編集が可能になります。

また、iDは特定の用途に特化したフォークも存在します。例えば、

Strava Slide: Stravaユーザーが収集したGPS追跡データに基づいた経路の最適化を支援します。
iD-indoor: 屋内マッピングに特化しており、複雑な建物内部の地図作成を可能にします。
Mapeo: リモート環境でのオフラインマッピングに対応する実験的なエディタです。

これらのフォークは、iDの汎用性をさらに高め、特定のニーズに応じた地図作成を支援します。

iDの誕生

iD以前、OSMデータのウェブエディタとして利用されていたのはPotlatch 2でした。iDプロジェクトは、Potlatch 1および2の作者であるリチャード・フェアハースト氏によって、2012年7月13日にオンラインで発表され、同年10月14日のState of the Mapカンファレンスで正式に発足しました。

同年9月には、ナイト財団が「Knight News Challenge: Data competition」の勝者として、OSMの新しい編集ツール開発を計画していたDevelopment Seed/Mapboxを選定し、575,000ドルの資金を提供しました。この投資を受け、Mapboxはリチャード・フェアハースト氏と共にiDの開発に着手。2012年12月22日には、iDの初期バージョンであるAlpha0がリリースされました。

名前の由来

「iD」という名前は、JavaScriptの「getElementById」やiPadの「i」、そしてフランス語の「Système D」の「D」を組み合わせたものです。また、シトロエン・iDという自動車を意識したものでもあります。さらに、前身のPotlatchよりもスペルを単純化することで、より覚えやすく、親しみやすい名前を目指しました。

技術的背景

iDは、Potlatch 2のアーキテクチャをJavaScriptで再実装し、ユーザーインターフェースを再設計することを目的として開発されました。特に大きな変更点として、XMLベースのタグ付けプリセットアーキテクチャからベースのアーキテクチャへの移行が挙げられます。

初期リリースではDojoフレームワークを使用していましたが、2019年時点ではレンダリングにD3.jsライブラリを採用し、SVGを主要なレンダリングモードとしています。中核アーキテクチャはモジュール化されており、OSMの他のJavaScriptツールで容易に利用できるように設計されています。

バージョン

iDは継続的に開発が行われており、新しい機能や改善が随時追加されています。具体的なバージョン情報については、公式ウェブサイトやGitHubリポジトリで確認できます。

脚注

外部リンク

公式ウェブサイト
* GitHubリポジトリのURL'>iD - GitHub

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