IEC 60027

IEC 60027: 電気に関する国際的な文字記号規格

IEC 60027は、[国際電気標準会議]によって制定された、電気に関する文字記号を規定する国際規格です。元々はIEC 27として制定されていましたが、ISO規格との番号重複を避けるため、現在の番号に変更されました。

この規格は、電気工学における様々な分野を網羅しており、計7つの部分規格から構成されています。それぞれの部分規格は、特定の分野における文字記号を明確に定義しています。例えば、IEC 60027-1は一般的な記号を、IEC 60027-2は電気通信と電気に関する記号を、IEC 60027-4は回転電気機械に関する記号を規定しています。他にも、対数的な量と単位、制御工学、生理学的な量と単位に関する部分規格が存在します。

IEC 60027は、量と単位に関するISO 31と内容が類似している部分が多いことから、両規格の改訂作業がISOとIECによって共同で行われました。その成果として、ISO/IEC 80000「量と単位」が策定され、IEC 60027の一部とISO 31の内容を継承しています。この統合により、関連する規格の整合性が向上し、国際的な標準化が促進されました。

二進接頭辞の導入

IEC 60027の重要な特徴の一つに、二進接頭辞の導入があります。これは、特にIEC 60027-2において顕著です。1999年1月に発行されたIEC 60027-2の第2次改訂版では、世界で初めてキビ(Ki)、メビ(Mi)、ギビ(Gi)、テビ(Ti)という二進接頭辞が導入されました。これはIECが1996年に提唱したもので、その後、IEC 60027-2の改訂やIEC 60027の改訂版を通して、ペビ(Pi)、エクスビ(Ei)、ゼビ(Zi)、ヨビ(Yi)といった接頭辞が追加されてきました。

これらの二進接頭辞は、コンピュータや情報技術の分野で広く利用されるようになり、データ容量などの表現に用いられています。例えば、キロバイト(KB)は1024バイトを表し、メガバイト(MB)は1024キロバイトを表すといった具合です。この二進接頭辞の導入は、情報技術の進展を反映した、IEC 60027における重要な修正でした。

IEC 60027-2:2005の3.8節と3.9節の内容は、ISO/IEC 80000-13で継承されています。ただし、ISO/IEC 80000-13では、いくつかの量についてより明確な定義が追加された点が、主な変更点と言えるでしょう。

IEC 60027は、電気工学分野における標準的な文字記号を定義する重要な国際規格です。その内容と改訂の歴史を理解することは、電気工学や関連分野の技術者にとって不可欠です。今後も、技術の進歩に合わせて、IEC 60027は継続的に改訂されていくと考えられます。

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