IRAM30m望遠鏡

IRAM30m望遠鏡は、ミリ波電波天文学研究所（Institut de Radioastronomie Millimétrique: IRAM）によって運営されている、口径30メートルの電波望遠鏡です。この望遠鏡は、スペイン・アンダルシア州グラナダ県のシエラ・ネバダ天文台、標高2850メートルの地点に設置されており、その高い標高は、大気による電波の吸収を低減し、観測の精度を向上させるのに役立っています。

建設は1980年から1984年にかけて行われ、ミリ波およびサブミリ波の観測を専門としています。具体的には、波長3mm、2mm、1mm、0.8mmの電波を捉えることができます。この波長域は、宇宙の低温のガスや塵から放出される電波を観測するのに適しており、星や惑星の形成過程、銀河の構造、宇宙初期の様子などの研究に重要な役割を果たしています。

望遠鏡のアンテナは非常に巨大で、その重量は800トンに達します。主鏡面は420枚のアルミニウムパネルで構成されており、この精密な構造によって、高精度な電波観測が可能となっています。

観測装置
IRAM30m望遠鏡には、複数の高性能な受信機が搭載されており、観測対象や目的によって使い分けられます。

HERA: 波長2mmの電波を受信するために開発された9素子のアレイ受信機です。複数の受信素子を組み合わせることで、一度に広い範囲の観測を可能にし、観測効率を向上させます。
EMIR: 波長3mmから0.9mmの電波を受信できる広帯域受信機です。2009年から実用化されており、幅広い波長範囲での観測を可能にしています。これにより、様々な天体の電波スペクトルを詳細に調べることができます。
MAMBO2: (MAx-Planck Millimeter BOlometer Array)波長1.2mmの連続波を観測するための117素子のカメラです。このカメラは、天体の連続波放射を面的に観測することができ、天体の温度分布やダスト分布を調べることができます。

これらの受信機は、ミリ波・サブミリ波天文学において最先端の技術が用いられており、IRAM30m望遠鏡の観測能力を支える重要な要素となっています。

関連する天文観測施設
IRAM30m望遠鏡のようなミリ波・サブミリ波望遠鏡は、宇宙の研究に不可欠なツールとなっており、世界各地に様々な関連施設が存在します。

大型ミリ波望遠鏡: メキシコに建設中の口径50mの電波望遠鏡で、IRAM30m望遠鏡と同じ波長帯を観測することができます。より大きな口径によって、高分解能の観測が可能になります。
野辺山宇宙電波観測所: 長野県にある国立天文台の電波天文台で、口径45mのミリ波望遠鏡を擁しています。IRAM30m望遠鏡と同様に、ミリ波帯での観測を行い、宇宙の研究に貢献しています。

外部リンク
IRAM: https://www.iram.fr/
* IRAM 30m telescope: https://www.iram.es/en/30m-telescope

IRAM30m望遠鏡は、その高い性能と観測能力により、多くの科学的な発見に貢献してきました。今後も、天文学の発展に大きく寄与していくことが期待されています。

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