ISEE-3/ICE

ISEE-3/ICE（国際太陽-地球/彗星探査機）の概要

ISEE-3/ICE（国際太陽-地球/彗星探査機3）は、アメリカ航空宇宙局（NASA）と欧州宇宙機関（ESA）が共同で開発した探査機で、太陽風や磁気圏、さらには彗星の観測を目的としたミッションを遂行しました。この探査機は、NASAのエクスプローラー計画の一環として1978年8月12日に打ち上げられました。最初はISEE-3として運用され、その後ICEに改名されて彗星観測を行いました。このプロジェクトは、太陽と地球の関係を深く理解するための重要な役割を果たしました。

ミッションの目的

ISEEプログラムは、ISEE-1、ISEE-2、ISEE-3の3機から構成され、それぞれが協力して様々な観測を行いました。具体的なミッションの内容は次の通りです：

• - 太陽-地球相互作用の研究: 地球の磁気圏の外縁での太陽と地球との相互作用を調査。
• - 太陽風と磁気圏の境界調査: 衝撃波と太陽風の詳細な構造の解明を目指しました。
• - プラズマシートメカニズムの研究: プラズマシートを制御するメカニズムの動きの理解を目指しました。
• - 宇宙線や太陽フレアの調査: 1 AU付近の惑星間空間での宇宙線や太陽フレアの影響を観測しました。

ISEE-3は、1978年11月20日に太陽-地球間のラグランジュ点L1を回る秤動軌道（ハロー軌道）に入ることに成功し、以来、各種のデータを収集しました。これにより、太陽と地球の間の複雑な相互作用を理解するための重要な情報を得ることができました。

彗星探査ミッション

1982年6月10日、ISEE-3は新たなミッションのために軌道を変更し、ICEに改名されました。この新しいミッションでは、4回の月を利用したスイングバイを経て、地球の磁気圏の尾部を観察しました。その成果として、1985年にはジャコビニ・ツィナー彗星近くを通過し、水分子や一酸化炭素イオンを検出、1986年にはハレー彗星に接近しました。ICEは19種類の観測装置を搭載しており、環境の様子や粒子の観測ができるものの、カメラは搭載していないため画像撮影はできませんでした。

運用の終了とその後

ICEは1997年に運用を終了しましたが、その後も興味深い状況が続きました。2014年8月には再び地球に近づくタイミングが訪れ、その際に民間団体がクラウドファンディングを通じて資金を集め、短期間の再運用を目指しました。進行中の確認で、ICEが13機の観測機器のうち12機が正常に動作していることが明らかになり、さらに推進剤も残っていることが確認されました。

再運用の試みでは、まずソフトウェア無線を用いて通信を試み、2014年5月には成功を収めました。しかし、スラスターの点火を試みた際には必要な窒素ガスの不足により、その努力は果たせませんでした。その後、通信は一時的に途絶えてしまいましたが、ISEE-3/ICEの探査ミッションは、宇宙科学の歴史において重要な一歩として位置づけられています。

まとめ

ISEE-3/ICEは、太陽と地球の相互作用や彗星の観測を通じて、宇宙に関する理解を深めた探査機です。再運用の試みも含め、その成果は現在も科学研究に貢献しています。

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