ISO 31-12

ISO 31-12は、国際標準化機構（ISO）によって定められた国際規格の一つで、輸送現象における特性数を対象としていました。この規格は、ISO 31の一部として位置づけられていましたが、2008年に発行されたISO 80000-11によって置き換えられ、廃止されました。

ISO 31-12がカバーしていた内容は、輸送現象、例えば熱伝導や流体運動などに関連するさまざまな特性数を定義し、それらを標準化することでした。これにより、異なる分野や国々で研究や技術開発を行う際に、共通の基盤を用いてデータや結果を比較、解釈することが可能になりました。特性数とは、例えばレイノルズ数やプラントル数のような無次元数であり、これらの数値は、輸送現象の特性を理解する上で不可欠です。

しかし、規格の更新と統合が進む中で、ISO 31-12はより包括的な規格であるISO 80000-11によって置き換えられることになりました。ISO 80000-11は、量と単位に関する国際規格であり、科学技術分野における数値の表現方法や記号などを定めています。この規格は、ISO 31シリーズを包括的に見直し、より最新の科学技術動向を反映させることを目的としています。

日本においては、ISO 31-12に対応する規格として、日本工業規格（JIS）のJIS Z 8202-12:2000が存在していました。この規格もISO 31-12と同様に、輸送現象における特性数を定義し、日本国内での技術開発や研究活動を支援してきました。JIS Z 8202-12は、ISO 31-12を踏襲して策定されたものであり、その内容は国際規格と整合性が図られていました。

その後、国際規格の改訂に合わせて、日本においてもJIS規格が見直され、2016年12月にISO 80000-11に対応するJIS Z 8000-11:2016が発行されました。この規格の発行に伴い、JIS Z 8202-12:2000は廃止されることとなりました。これにより、日本国内においても、より新しい国際規格に基づいて技術開発や研究活動を進めることができるようになりました。

規格の変遷をまとめると、ISO 31-12は輸送現象における特性数を定めた重要な規格でしたが、ISO 80000-11に置き換えられ廃止されました。日本国内においても同様に、JIS Z 8202-12はJIS Z 8000-11に置き換えられています。この規格の変更は、国際的な技術標準の調和と最新の科学技術動向の反映を目的としたものであり、科学技術分野における国際的なコミュニケーションと協力において重要な役割を果たしています。

このように規格は、技術の進歩や国際的な連携を背景に、常に変化し続けるものです。そのため、技術者や研究者は、常に最新の規格情報を収集し、適切な対応を取ることが求められます。この規格の変遷は、技術標準の進化の一例として、その重要性を物語っています。

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