Il-18 (航空機)

Il-18: ソビエト製ターボプロップ旅客機の歴史

Il-18（イリューシン18）は、1957年にソビエト連邦のイリューシン設計局によって開発された中・長距離のターボプロップ旅客機です。この機体は、アメリカのロッキード社製L-188エレクトラに似たデザインを持ちながら、最初から旅客機として開発された点で特異な存在です。その結果、ソ連機の中でも特に経済性と優れた離着陸性能を兼ね備えています。機内は3-2配置の横5列のシートが並び、中央に通路が設けられています。

開発の経緯

Il-18の開発は1946年に始まり、最初のプロトタイプはレシプロエンジンを搭載した4発機として製造されましたが、性能に不満があり翌年には運航中止となりました。しかし、1950年代中頃にターボプロップ機への転換が決まり、1957年7月4日に初飛行を果たします。イリューシン設計局にとっては、ターボプロップエンジンを搭載した初の旅客機となり、後に約700機以上が生産されました。

運用と成功

1959年に旅客運航を開始し、アエロフロートがモスクワとアドラー、アルマトイを結ぶ路線で初めて使用し、その後も多くの国に輸出されました。この機体は特に共産主義国に多く輸出され、政府専用機としても利用されました。さらに、戦闘機や哨戒機などの軍用モデルも開発され、Il-20やIl-38がその例です。ソビエト連邦の崩壊後も、ロシアやウクライナを始めとする国家で運用が続けられました。

現在の運用状況

現在、Il-18の多くは運用を終了していますが、地上で保管されている機体も多く存在します。まだ活用されている機体もあり、ロシアのアエロフロートでは貨物機に改造されて使用されています。また、ウクライナのリヴィウ航空や高麗航空（北朝鮮）などでも依然として運用中の機体が確認されており、全世界で約100機が現役で使われていると考えられています。

様々なバリエーション

Il-18はさまざまな型式が製造されました。最初の型であるIl-18Aは、NK-4エンジンを搭載し、その後はAI-20エンジンに移行しました。Il-18Bでは最大座席数が84席、Il-18Vでは90から100席に拡大されました。さらに、Il-18Iはより強力なエンジンに換装され、乗客数も110から122人に増加しました。これらの機種は各種用途に応じて開発され、また軍事用途では電子情報支援機やコマンドポスト仕様も存在します。

技術的仕様

この機体についての一般的な仕様としては、全長37.40m、翼巾35.90m、全高10.17m、エンジンはAI-20Mターボプロップエンジンを4基搭載し、乗員は5名、最大離陸重量は約64,000kgです。最大巡航速度は675km/h、航続距離は全負荷時で3,700kmに達します。これらの特徴から、Il-18は旅客機としてだけでなく、さまざまなニーズに応じた多様な運用形態で長年にわたって利用されることとなりました。

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