Intel A100

Intel A100：低消費電力に特化したIA-32プロセッサ

Intel A100は、インテルが開発したLPIA（Low Power Intel Architecture）カテゴリに属するIA-32マイクロプロセッサです。特筆すべきは、インテルのCPUとしては珍しく、ブランド名を持たず、形式番号のみで識別される点です。そのため、シリーズを指す場合は、トップナンバーであるA100が用いられます。開発コードネームは「Stealey（スティーリィ）」です。

LPIAカテゴリの後続プロセッサは、Atomブランド（シリーズ）へと引き継がれていきました。

概要

インテルの公式資料によれば、A100/A110はモバイル・マイクロアーキテクチャのPentium Mをベースに、超低電圧駆動を実現することで、TDP（熱設計電力）を3Wに抑えているとされています。しかし、当時インテルは既にULV（超低電圧版）のCeleron M（コードネーム「Dothan ULV」、90nmプロセス）を提供しており、A100/A110は実際には既存のDothan ULVの派生品としてパッケージを変更し、低クロック・低消費電力化を図ったものとの指摘もあります。

ただし、Dothan-512Kの対応チップセットがi915ファミリであるのに対し、A100/A110はより新しいi945ファミリに対応している点が異なります。この点から、A100/A110は単なる既存製品の焼き直しではなく、対応チップセットの刷新を含めた、より新しいプラットフォームを構成する要素として位置づけられていたことが伺えます。

インテルは、A100/A110と945GU Expressチップセット、そしてICH7U（I/O Controller Hub）を組み合わせたものを「Intel Ultra Mobile Platform 2007」（コードネーム: McCaslin）と称し、MID（Mobile Internet Device）やUMPC（Ultra Mobile PC）などのモバイルデバイスに適した製品群であると位置づけていました。このプラットフォームは、低消費電力でありながら、モバイル環境での基本的なコンピューティングを可能にすることを目的としていました。

A100シリーズの後継として、マイクロアーキテクチャから新たに開発されたIntel Atomが発表されました。Atomシリーズは、より省電力化と小型化を追求し、ネットブックなどの新たなモバイルデバイス市場を牽引する存在となりました。

製品

A100プロセッサは、その低消費電力性能を活かし、特定のモバイルデバイスや組み込みシステムに採用されました。特に、初期のMIDやUMPCにおいて、Intel Ultra Mobile Platform 2007の中核を担うプロセッサとして利用されました。

関連項目

Intel Atom
Intel Processor
Apple TV
ネットブック

外部リンク

* McCaslin Platform Development Resource Kit - インテル (参考資料)



Intel A100は、その登場から後継のAtomプロセッサに役割を譲ったものの、低消費電力プロセッサの開発における重要な一歩であり、モバイルコンピューティングの進化に貢献したプロセッサの一つと言えるでしょう。

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