Internet Systems Consortium

インターネットシステムズコンソーシアム（Internet Systems Consortium, ISC）は、2004年1月に設立されたアメリカ合衆国の非営利団体（NPO）です。アメリカ内国歳入法第501条c3項に準拠した非営利組織として運営されており、その活動は主にインターネットインフラの根幹を支えるソフトウェアの開発、保守、および関連サービスの提供に焦点を当てています。ISCは、その設立以前に存在したInternet Software Consortiumから資産と人員を引き継ぎ、インターネットの安定と発展に貢献し続けています。

ISCが開発・保守しているソフトウェアには、以下のようなものが含まれます。

BIND (Berkeley Internet Name Domain): 最も広く利用されているDNS (Domain Name System) サーバーソフトウェアの一つです。BINDはドメイン名の解決、つまりウェブサイトのアドレス（例：www.example.com）をコンピュータが理解できるIPアドレス（例：192.0.2.1）に変換する役割を果たします。インターネットの基盤となるDNSシステムの要であり、その信頼性と安定性は非常に重要です。
INN (InterNetNews): ニュースグループ（Usenet）のサーバーソフトウェアです。Usenetは、インターネット上でメッセージを交換するための分散型ネットワークであり、INNはUsenetニュースの転送や保存を管理します。
ISC DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol): ネットワークに接続されたデバイスにIPアドレスを自動的に割り当てるためのプロトコルであるDHCPを実装したサーバーソフトウェアです。DHCPは、ネットワーク管理者が手動で各デバイスにIPアドレスを設定する手間を省き、ネットワーク管理を効率化します。
Kea: ISC DHCPの後継として開発されている、より現代的で拡張性の高いDHCPサーバーソフトウェアです。Keaは、IPv4およびIPv6の両方をサポートし、より複雑なネットワーク環境に対応できます。
OpenReg: レジストリ管理のためのソフトウェアです。

これらのソフトウェアは、インターネットの安定運用に不可欠な役割を果たしており、ISCはこれらのソフトウェアを継続的に開発し、保守することで、インターネットインフラの信頼性を高めています。

また、ISCは13あるルートサーバーのうち、Fルートサーバーの運用管理も担当しています。ルートサーバーはDNSシステムの最上位に位置し、インターネット全体のドメイン名解決の基盤となる重要な役割を担っています。ISCはFルートサーバーの運用において、いち早くエニーキャスト技術を導入し、地理的に分散した複数のサーバーで同一のIPアドレスを共有することで、サーバーの可用性と応答性を向上させています。エニーキャストによって、ユーザーは最も近いサーバーに接続できるため、より高速で安定したDNSサービスを利用することができます。

さらに、ISCは多くの自由ソフトウェアの開発に貢献する傍ら、Usenetのニュースグループや削除リクエストの制御メッセージ（rmgroup）のアーカイブを管理しています。このアーカイブは、インターネットの歴史を記録し、研究者や開発者が過去の技術や議論を理解する上で貴重なリソースとなっています。

ISCの活動は、インターネットインフラの安定と継続的な発展に不可欠であり、その貢献は非常に大きいと言えるでしょう。

関連情報として、ISCが作成した自由ソフトウェアライセンスである「ISCライセンス」があります。これは、BSDライセンスに似たパーミッシブなライセンスであり、ISCが開発したソフトウェアを自由に利用、配布、変更することを許可しています。

詳細は以下の外部リンクをご参照ください。

Internet Systems Consortium home page (英語)

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