Internet2

Internet2とは

Internet2（インターネット2）は、アメリカ合衆国の最先端ネットワーキングコンソーシアムであり、研究教育コミュニティ、企業、政府機関などが参加しています。正式名称は "the Internet" です。このコンソーシアムは、研究・教育分野における高度なネットワーキングニーズに応えることを目指しており、次世代インターネット技術の開発・展開を推進しています。

概要

Internet2は、331の高等教育機関、65の企業、43の研究教育ネットワーク、60の提携会員や接続業者（2018年時点）など、幅広い組織が参加しています。そのネットワークは、次世代Internet Protocolと光ファイバーネットワークを基盤としており、研究・教育に必要な高性能なネットワークサービスを提供しています。特に、ユーザーごとに広帯域データ回線を光ファイバーネットワーク上に割り当てる動的回路ネットワーク（Internet2 DCN）は、最先端技術として注目されています。

アメリカ国内では、地域ネットワークや接続業者を通じて、6万以上の教育・研究機関、政府機関がInternet2に接続しており、小中学校から大学、図書館、博物館、医療機関まで、多岐にわたる組織が利用しています。

Internet2コミュニティは、単一組織の枠を超え、ネットワーク技術の開発・展開に貢献しています。その技術には、大規模ネットワークの性能測定・管理ツール、簡潔でセキュアなアイデンティティ管理ツール、広帯域仮想回線の生成・スケジューリング機能などがあります。

Internet2は、会員主導のオープンな運営体制を採用しており、会員は諮問委員会への参加や、作業部会・SIGでの協力、会議への参加などを通じて、戦略策定にも関与しています。

また、2016年には、中国科学技術大学がInternet2の技術を活用し、人工衛星と地上間1,200キロの量子通信実験に成功しました。

歴史

インターネットの普及に伴い、研究者間のデータ転送需要が増大し、大学を中心に高性能ネットワークへの要望が高まりました。データマイニング、医用画像処理、素粒子物理学などの分野で特に高性能なネットワークが求められるようになりました。

1995年、アメリカ国立科学財団（NSF）とMCIがvBNS（Very high-speed Backbone Network Service）を構築。これは主に教育機関とスーパーコンピュータを繋ぐためのものでしたが、NSFの契約終了後は政府機関向けサービスに移行しました。そのため、研究・教育コミュニティは独自のネットワークニーズを満たすために、Internet2を設立することになりました。

1996年、EDUCOM（後のEDUCAUSE）の支援の下、34の大学の研究者がInternet2プロジェクトを開始。1997年には、非営利団体UCAID（University Corporation for Advanced Internet Development）として正式に発足し、その後Internet2に名称変更、登録商標としました。本部はミシガン州アナーバーにあり、ワシントンD.C.にもオフィスを構えています。

1998年には、クエスト社との提携により、最初のInternet2ネットワークであるアビリン・ネットワークが構築されました。また、Internet2コミュニティは、ナショナル・ラムダレール（NLR）プロジェクトの主要出資者にもなりました。2004年から2006年にかけて、Internet2とNLRは合併の可能性について協議しましたが、最終的には見解の相違により合意に至りませんでした。

2006年、Level 3 Communicationsとの提携を発表し、通信容量を10Gbit/sから100Gbit/sに拡大する全国規模の新たなネットワーク構築に着手しました。2007年10月には、アビリン・ネットワークを正式に退役させ、新たな大容量ネットワークをInternet2ネットワークとして運用を開始しました。

2023年現在、Internet2の通信容量は30.4Tb/sに達しています。

目的

Internet2の主な目的は、アメリカの研究教育コミュニティに対して、高い帯域幅を必要とするネットワークを提供することです。そのネットワークは、動的で堅牢な光ファイバーパケット網を基盤としています。バックボーンは30.4Tb/sの容量を持ち、320以上の教育機関、70以上の企業、65以上の非営利団体・政府機関が100Gbps以上の接続を利用し、最大800Gbpsのシングルキャリアリンクも提供しています。

Internet2コンソーシアムは、以下の目標を掲げています。

最先端ネットワークの開発・運用
新世代アプリケーションを通じてブロードバンド接続の能力を最大限に活用
新しいネットワークサービスとその応用を教育のあらゆるレベルに導入し、インターネットコミュニティ全体に恩恵をもたらす

Internet2のネットワークは、協調的なアプリケーション、分散研究実験、グリッドベースのデータ分析から、ソーシャルネットワーキングまで、幅広い用途で利用されています。また、IPv6、オープンソースのセキュアなネットワーク接続用ミドルウェア、レイヤ2VPN、動的回路ネットワークなど、一部の技術は商用利用もされています。

応用賞

Internet2は、先進的なネットワーク応用を表彰するIDEA（Internet2 Driving Exemplary Applications）賞を2006年から設けています。審査は多くの大学が参加し、以下の基準に基づいて行われます。

現在の利用者へのポジティブな影響度
技術的優位性
潜在的な利用者数も考慮した影響度

受賞者は毎年春の会議で発表されます。

関連項目

インターネット
ケーニスネット - 教育分野でのICT利用を推進するオランダの団体
SINET - 日本の学術情報ネットワーク、相互接続を行っている

脚注・出典

参考文献

Barnes, Christopher, and Terresa E. Jackson. INTERNET2: The Backbone of the Future. Brooks Air Force Base, Tex.: Air Force Research Laboratory, 2002.
Matlis, Jan. "Internet2." Computerworld, 28 August 2006, 30.
Moschovitis, Christos, Hilary Poole, Tami Schuyler, and Theresa M. Senft. History of the Internet: A Chronology, 1843 to the Present. Santa Barbara, Cal.: ABC-CLIO, 1999.
Van Houweling, Douglas and Ted Hanss, "Internet2: The Promise of Truly Advanced Broadband," in The Broadband Explosion, R. Austin and S. Bradley, Editors, Harvard Business School Press, 2005.

外部リンク

Internet2公式サイト
Scientists Set Internet2 Speed Record Internetnews.com
Internet2 FAQs, from Qwest

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