J・J・ケイル

J.J. ケイル（J. J. Cale、1938年12月5日 - 2013年7月26日）は、アメリカ合衆国出身のシンガーソングライターであり、ギタリストです。彼の音楽は、ブルース、ロカビリー、カントリー、ジャズといった多様なジャンルを融合させた、独自の「タルサ・サウンド」として知られています。その音楽性は「レイド・バック・サウンド」とも形容され、多くのミュージシャンに影響を与えました。

生涯

ケイルは1938年、オクラホマ州オクラホマシティで生まれ、タルサで育ちました。1960年代初頭には、ロサンゼルスに移り、スタジオ技術者としてキャリアをスタートさせます。当初は、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのジョン・ケイルと混同されることを避けるため、J.J.ケイルと名乗るようになりました。しかし、アーティストとしての成功はなかなか得られませんでした。

転機が訪れたのは1970年。エリック・クラプトンが、自身の初のソロ・アルバムでケイルの楽曲「アフター・ミッドナイト」をカバーし、大ヒットを記録したのです。この成功により、ケイルは音楽業界から離れることを考え直しました。

1971年には、初のソロ・アルバム『Naturally』をリリース。このアルバムで、彼の音楽スタイルは確立されました。ロサンゼルス・タイムズは、このアルバムを「流れるようなギターと簡素なボーカルにより、ブルースとフォーク、ジャズが融合された独特の音」と評価しました。アルバム収録曲の「Crazy Mama」は、Billboard Hot 100で最高22位を記録し、自身最大のヒット曲となりました。

ケイルは、ドキュメンタリー映画『To Tulsa and Back: On Tour with J.J. Cale』（2006年）の中で、自身の楽曲をプロモーションするためにテレビ番組『アメリカン・バンドスタンド』に出演した際のエピソードを語っています。彼は、バンドが事前に録音したテープを使用することを拒否し、歌と演奏を同時に録音することにこだわったそうです。

影響と楽曲

J.J. ケイルの楽曲は、エリック・クラプトンをはじめ、数多くのアーティストによってカバーされています。「アフター・ミッドナイト」や「コカイン」（クラプトン）、「Cajun Moon」（ランディ・クロフォード）、「Clyde」や「Louisiana Women」（ウェイロン・ジェニングス）、「Bringing It Back」（カンサス）、「Call Me the Breeze」（レーナード・スキナード）などが代表的な例です。

2006年には、エリック・クラプトンとの共作アルバム『ザ・ロード・トゥ・エスコンディード』をリリース。このアルバムは、第50回グラミー賞の最優秀コンテンポラリー・ブルース・アルバムを受賞しました。

J.J. ケイルは2013年7月26日、カリフォルニア州ラホヤの病院で心臓発作のため死去しました。74歳でした。

彼の音楽は、今もなお多くの人々に愛され続けています。

ディスコグラフィ

スタジオ・アルバム

1972: Naturally
1973: Really
1974: Okie
1976: Troubadour
1979: 5
1981: Shades
1982: Grasshopper
1983: #8
1990: Travel Log
1992: Number 10
1994: Closer to You
1996: Guitar Man
2004: To Tulsa and Back
2009: Roll On

ライヴ・アルバム

2001: Live

コラボレーション・アルバム

2006: The Road to Escondido (エリック・クラプトンと共演)

コンピレーション・アルバム

1984: Special Edition
1997: Anyway the Wind Blows: The Anthology
1998: The Very Best of J.J. Cale
2000: Universal Masters Collection
2006: The Definitive Collection
2007: Rewind: The Unreleased Recordings
* 2011: The Silvertone Years

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