J9シリーズ

J9シリーズ：銀河を駆け抜けたロボットアニメの系譜

1981年から1984年にかけて、テレビ東京系で放送された『J9シリーズ』は、個性豊かな3作品からなるロボットアニメシリーズです。それぞれ『銀河旋風ブライガー』、『銀河烈風バクシンガー』、『銀河疾風サスライガー』というタイトルが付けられており、共通して「J9」と名付けられたチームが登場することから、シリーズ全体を『J9シリーズ』と呼んでいます。

各作品の世界観と共通点

3作品は同一の世界観を共有しており、時系列的に繋がっています。『ブライガー』を起点に、『バクシンガー』はその600年後、『サスライガー』は『バクシンガー』から更に200年後の物語を描いています。各作品は、それぞれ『必殺シリーズ』、『新撰組』、『八十日間世界一周』といった、異なるモチーフを取り入れていることが特徴的です。このため、それぞれの作品は「ロボットアニメ版○○」として紹介されることも少なくありません。

興味深いのは、各作品で主人公たちの声を担当する声優陣です。塩沢兼人さん、曽我部和行さん、麻上洋子さん、森功至さんなど、多くのベテラン声優がシリーズを通して出演し、作品世界の一貫性を支えています。また、全作品の主題歌作曲を山本正之さんが手がけていることも、シリーズの統一感を高める要素となっています。各作品のアイキャッチでは、塩沢兼人さんが声を演じたキャラクターが楽器演奏をする姿が描かれており、これもシリーズならではの演出と言えるでしょう。

シリーズ誕生の秘話

シリーズ原案とシリーズ構成を担当した山本優氏によれば、『J9』というシリーズ名は、当時ソニーから発売されていたベータマックスビデオデッキ「SL-J9」に由来しているそうです。山本氏は高価だったこのビデオデッキをどうしても欲しかったものの、購入することが叶わず、その思いを込めてシリーズ名に冠したという逸話が残されています。

個性豊かな3作品

銀河旋風ブライガー (1981年10月～1982年6月、全39話): シリーズ第一作。痛快なアクションと、必殺シリーズを思わせる独特の雰囲気で人気を博しました。
銀河烈風バクシンガー (1982年7月～1983年3月、全39話): 新撰組をモチーフに、時代劇的な要素も取り入れた作品です。ブライガーとは異なる重厚な世界観が特徴です。
* 銀河疾風サスライガー (1983年4月～1984年1月、全43話): 八十日間世界一周をモチーフにした冒険活劇。シリーズ最終作として、壮大なスケールで物語が展開します。

シリーズを超えて

テレビシリーズ放送後も、『J9シリーズ』の世界は様々な形で展開されました。小説版『銀河旋風ブライガー』（山本優著）では、テレビ版最終回以降の物語が描かれています。また、1993年にはLD-BOX発売を記念した主題歌集『J9 ETERNAL SPECIAL』がリリースされ、山本正之さんによる新アレンジやシリーズを総括した新曲が収録されました。

さらに、山本優氏が2014年に発足した「GDWプロジェクト」では、『銀河神風ジンライガー』の制作が進められていましたが、山本氏の急逝により2019年にプロジェクトが解散しています。この作品は、水滸伝をモチーフとしており、J9シリーズとは別作品として扱われますが、オリジナル性の強いJ9テイストを受け継いでいると紹介されています。

山本正之氏自身も、『J9シリーズ』へのオマージュとして、小説『銀河熱風オンセンガー』や、その主題歌、そして『銀河シャンプーリンスガー』、『銀河無責任タイラーガー』といった楽曲を発表しています。これらの作品は、シリーズとは直接関連していませんが、J9シリーズへの深い愛情を感じさせる作品となっています。

『J9シリーズ』は、個性的なロボットアニメとして、多くのファンを魅了し続けています。その魅力は、時代を超えて語り継がれることでしょう。

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