JASMINE計画

JASMINE計画の概要

JASMINE計画（Japan Astrometry Satellite Mission for INfrared Exploration）は、日本の国立天文台が中心になって進めている位置天文衛星による宇宙観測プロジェクトです。この計画は、主に3つの段階からなる衛星、すなわちNano-JASMINE、Small-JASMINE、そして(Medium-sized) JASMINEから構成されています。これらの衛星は、欧州宇宙機関（ESA）のガイア計画と連携し、ヒッパルコス衛星の後継として、天の川銀河の詳細な観測を行うことを目的としています。全体としてガイア計画と補完的な観測を実施し、銀河の理解を深化させることを狙っています。

各衛星の詳細

Nano-JASMINE

Nano-JASMINEは、主鏡の口径が5センチメートル、重量が35キログラムの小型衛星です。この衛星は、近赤外のzwバンドを使用し、ガイアやヒッパルコスと同様に全天を対象とした観測を行います。観測の精度はヒッパルコスと同程度ですが、ガイア計画では観測が難しい明るい6等星のデータを得ることができます。2010年に衛星は完成しましたが、当初打ち上げは2011年8月に予定されていましたが、ロケットと発射場の財政問題、ウクライナ情勢などの影響で延期されました。

2015年には、ガイア衛星の研究チームが助力を申し出、ESAが無償での打ち上げを提案しました。しかし、経年劣化の問題やSmall-JASMINEへの関心が高まったため、打ち上げは最終的に中止されました。Nano-JASMINEの機体は、岐阜県のかかみがはら航空宇宙博物館で常設展示されています。

Small-JASMINE

次に、Small-JASMINEは主鏡の口径が30センチメートル、重量が400キログラムの計画です。Nano-JASMINEよりやや長波長のHwバンドを利用して、銀河バルジの一部を集中的に観測します。観測精度はガイアと匹敵し、赤外線による観測により、可視光で難しいバルジの情報を得ることが可能です。この衛星は、ISAS/JAXAによる小型科学衛星プログラムを通じて打ち上げることを目指しています。2019年5月には公募型小型3号機に選定され、2028年度に打ち上げる予定です。目標としては、 Hwバンドで12.5等星や15等星を観測する際の精度が設定されています。

(Medium-sized) JASMINE

(Medium-sized) JASMINEは、主鏡の口径が80センチメートル、重量が1500キログラムを想定しています。この衛星は、HwバンドまたはKwバンドを用いて、銀河バルジ全体の約200平方度を観測し、観測精度はガイアと同等となる予定です。このプロジェクトにより、銀河バルジの奥行きを反映した3次元の地図を作成できる可能性があります。

(Medium-sized) JASMINEの実施は2030年代に計画されています。

研究活動とコミュニティ

2019年8月には、JASMINE Consortiumが設立され、データ解析や科学的妥当性の検証、広報活動を専門にする3つのワーキンググループが設けられました。2022年の日本天文学会秋季年会では、いくつかの企画セッションが設けられ、本プロジェクトの進行や得られる科学的成果についての討議が行われました。

このように、JASMINE計画は日本の位置天文観測の新たな展開を象徴しており、天の川銀河に関する科学的理解の深化に貢献し続けています。

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