JEEP (曲)

長渕剛のシングル「JEEP」：後悔と決意のロードミュージック

1990年7月25日、長渕剛の23枚目のシングル「JEEP」が東芝EMIのエキスプレスレーベルよりリリースされました。アルバム『JEEP』からの先行シングルとして発表された本作は、オリコンチャートで最高2位を獲得。前作までの3作連続1位という記録は途絶えましたが、その音楽性とメッセージ性の高さから、長渕剛の代表曲の一つとして高い人気を誇っています。

ノンタイアップシングルとしての成功

「とんぼ」「激愛」「しょっぱい三日月の夜」と、タイアップ曲によって3作連続オリコン1位を獲得していた長渕剛にとって、「JEEP」は初のノンタイアップシングルでした。タイアップがないにも関わらず、高いセールスを記録したことは、楽曲そのものの魅力と、長渕剛の確固たる人気を証明する結果となりました。29.6万枚の売上を記録し、オリコンチャートには15回に渡ってランクインしました。

アコースティックギターが奏でる、内省的なサウンド

「JEEP」の音楽性は、アコースティックギターを主軸としたシンプルな構成が特徴です。バックにはシンセサイザーが控えめに使用されていますが、ドラムスやベースは使用されておらず、アコースティックギターの音色が楽曲全体を優しく包み込んでいます。サビ以外の部分はラップのような独特のリズムと韻を踏んだ歌詞が用いられ、聴き手に新鮮な印象を与えます。

音楽情報サイト『CDジャーナル』は、スリーフィンガー奏法による小気味よいアコースティックギターの音色と、2声のハーモニーを特徴として高く評価しています。また、サーフミュージック風のフォーキーなサウンドに乗せて、過去への後悔と未来への希望を歌い上げていると評しています。歌詞の内容は、ジープに乗ってドライブをしながら、過去の後悔と未来への決意を綴ったものとなっています。

深刻な心情と希望に満ちた展望

『CDジャーナル』は、歌詞とメロディーのリアルな描写を称賛しています。早朝の海辺で物思いにふける主人公の心情描写、そして次第にポジティブになっていく心の変化が、繊細かつリアルに表現されていると評されています。夜明けの海を前に、勇気と活力を得た主人公が、自身を納得させるように歌いかける様は、聴く者の心に深い共感を呼び起こします。

ライブでの定番曲としての地位確立

「JEEP」はリリース後、数多くのライブで演奏されています。1990年の『夜のヒットスタジオSUPER』でのテレビ初披露以降、『FUN』など数々の音楽番組にも出演し披露。2000年代に入ってからは特に演奏頻度が高くなり、「Live Only 2x2 -an unplugged-」や「YOKOHAMA Stadium Live 2002.9.7」といった大規模なライブイベントから、アコースティックライブツアーまで、幅広い場で歌い継がれてきました。

カップリング曲「女よ、ごめん」

カップリング曲「女よ、ごめん」は、シングルバージョンではアコースティックギターによる弾き語り、アルバム『JEEP』収録の「女よ、GOMEN」ではバンド演奏という、異なるアレンジが施されています。メロディーも若干異なっており、シングルとアルバムで異なる魅力を楽しむことができます。

多様な収録作品

「JEEP」は、数多くのアルバムに収録されています。『JEEP』はもちろんのこと、『SINGLES Vol.3 (1988〜1996)』、『BEST〜風〜』、『YAMATO』、『Tsuyoshi Nagabuchi All Time Best 2014 傷つき打ちのめされても、長渕剛。』といったベストアルバムや、ライブアルバム『LIVE ONLY 2×2 an unplugged』、『30th Anniversary BOX from TSUYOSHI NAGABUCHI PREMIUM』にも収録され、その人気と普遍的な魅力を改めて示しています。

カバー

EXILEのDJ MAKIDAIが、RATHER UNIQUEをフィーチャリングした楽曲「Hey ANIKI!」でカバーしています。

まとめ

「JEEP」は、長渕剛の音楽性を象徴する一曲と言えるでしょう。シンプルなサウンド、リアルな歌詞、そして力強いメッセージは、時代を超えて多くの人の心を掴み続けています。ノンタイアップでありながら記録したセールス、そしてライブでの高い演奏頻度は、この楽曲が持つ普遍的な魅力を示しています。

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