しょっぱい三日月の夜

長渕剛「しょっぱい三日月の夜」：葛藤と哀愁のバラード

1989年12月8日、日本のシンガーソングライター、長渕剛の22枚目のシングル「しょっぱい三日月の夜」がリリースされました。これは、1990年発表のアルバム『JEEP』からの先行シングルとして発表され、オリコンチャートでは見事1位を獲得。前作に続くヒットとなり、「とんぼ」、「激愛」と合わせ、シングル3作連続でオリコンチャート1位という快挙を達成しました。

映画『ウォータームーン』との関わりと音楽性

「しょっぱい三日月の夜」は、長渕剛主演映画第2作『ウォータームーン』（1989年）の主題歌として書き下ろされました。『ウォータームーン』は公開に際して様々な困難に見舞われましたが、何とか公開にこぎつけました。しかしながら、映画そのものは不評で、興行収入は前作を大きく下回る結果に終わっています。

楽曲の音楽性としては、アコースティックギターとエレクトリックギターの音色が中心に据えられ、バックにシンセサイザーの音色が加わった、ミディアムバラードに仕上がっています。歌詞は、長渕剛自身の内面における相反する感情の葛藤を表現した内容となっています。音楽情報サイト『CDジャーナル』では、「月夜を連想させる柔らかいシンセ・サウンドが印象的なミディアム・バラード」と評されています。また、「アクの強いヴォーカルが疲労感にも似た男の哀愁を感じさせる」という評価もされています。

レコードシングルとしての最後

「しょっぱい三日月の夜」は、長渕剛のシングル作品としては最後のレコードリリース作品という点でも注目に値します。B面には、1989年の横浜アリーナ公演で収録された「いつかの少年 ('89 YOKOHAMA ARENA Live Version)」が収録されました。この曲は、ライブアルバム「長渕剛LIVE'89」にも収録されています。

チャート成績とライブパフォーマンス

オリコンチャートでは最高位1位、登場回数19回を記録し、34.4万枚というセールスを達成しました。テレビ出演は、1989年12月13日放送のフジテレビ系音楽番組『夜のヒットスタジオSUPER』のみでした。その後は長らくライブでの演奏機会は少なかったものの、2009年の「Tsuyoshi Nagabuchi Acoustic Live 30th Anniversary」ツアーや2012年の「TSUYOSHI NAGABUCHI ARENA TOUR 2012 Stay Alive」ツアーで披露されています。

制作スタッフと収録作品

楽曲の制作には、島村英二（ドラムス）、美久月千晴（ベース）、矢島賢（エレクトリックギター）、笛吹利明（アコースティックギター）、エルトン永田（キーボード）、中山信彦（オペレーター）といったミュージシャンが参加しています。プロデューサーは長渕剛自身。レコーディング・エンジニア、ミックス・エンジニアには石塚良一(Z's)が参加しています。

「しょっぱい三日月の夜」は、アルバム『JEEP』、『いつかの少年』（1994年）、『SINGLES Vol.3 (1988〜1996)』（1997年）などに収録されています。

まとめ

「しょっぱい三日月の夜」は、長渕剛のキャリアにおいて重要な位置を占めるシングルです。映画主題歌としての役割、オリコンチャートでの成功、そしてレコードシングルとしての最後の作品という点が挙げられます。楽曲の持つ独特の雰囲気と、長渕剛の表現力、そして複雑な制作過程などが絡み合い、この曲は長年のファンにとっても特別な意味を持つ作品となっていると言えるでしょう。

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